グーグルに「クローム」売却要求へ、独占解消で米司法省-関係者
(ブルームバーグ): 米司法省は、米アルファベット傘下グーグルにインターネット閲覧ソフト「クローム」の売却を命じるよう裁判所に求める方針を固めた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。実現すれば、世界有数のテック企業に反トラスト法に基づく事業売却を求める歴史的ケースとなる。
関係者によれば、司法省の反トラスト法執行担当者は、コロンビア特別区(首都ワシントン)連邦地裁のアミト・メータ判事に対し、人工知能(AI)とスマートフォンの基本ソフト(OS)「アンドロイド」に関する措置をグーグルに求めるよう要請する方針だ。
メータ判事は今年8月にグーグルがオンライン検索サービスなどで反トラスト法に違反するとの判断を示していた。
非公開情報を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、反トラスト法執行担当者と訴訟に参加した複数の州当局は20日、独占の弊害解消に向け、データライセンシング要件をグーグルに課す是正案もメータ判事に示す予定だ。
訴訟はトランプ政権下で提起され、バイデン政権でも継続された。判事が提案を受け入れれば、オンライン検索市場と急成長するAI業界を一変させる可能性がある。マイクロソフト解体に20年前に失敗した後、違法な独占が認定されたテック企業を制限する最も大掛かりな動きとなる。
世界で最も人気の高いウェブブラウザーのクロームは、多くの人々が検索エンジンを利用する際に経由する主要アクセスポイントであり、グーグルの広告事業にとって重要だ。スタットカウンターによると、米市場では約61%のシェアを握る。
ログインユーザーのアクティビティーを把握し、そのデータをプロモーション対象のより効果的な絞り込みに活用するモデルが同社の収入の大部分を生む。クロームは対話型AI「ジェミニ」にユーザーを誘導する手段でもあり、ジェミニはウェブ上でユーザーを追跡するアシスタントに進化する可能性を秘める。
関係者によれば、反トラスト法執行担当者は、グーグルにアンドロイドの売却を求めるより厳しい選択肢は取り下げた。是正措置の他の幾つかの側面がより競争的な市場を実現する場合には、クロームの売却が必要かどうか後日判断する選択肢も米当局にはあるという。