世界が注目する期待の大型新人! ローカルガストロノミーを進化させる新進気鋭のフレンチ・シェフの展望に迫る
本田:いい決断だよね。相当チャレンジングだけどね。
糸井:官民連携してこの廃校をどうするのかというところに僕みたいなシェフが絡む。そういう側面もありながら、トップレストランを目指す。そんな例は世界的に見てもあんまりないと思うんです。ここで、これからの時代の飲食店の働き方とか、あり方とかを考えていきたいですね。シェフって、スポーツ選手と一緒で、何年も修業して身につけた知識や技術があって、やっとスタートラインに立てる職業の一つだと思います。海外に出て強く感じたのは、シェフは素晴らしい職業なんですが、日本ではなかなか欧米のような地位ではないし、世間一般からもそうは見られていません。一気には変わらないと思うんですけど、オーフみたいな新しいやり方、表現をする店で自分が表舞台に出ることで、少しでもシェフの地位がいい方向に向いていったらいいなと思います。
本田:結構、チャレンジングな選択だけど、面白い。その年齢だからこそ、こういうチャレンジをしておいた方が、先々面白いよね。
糸井:今しかできないと思って決めました。あと、ちゃんと理解してくださるオーナーがいて、民間だけでは無理なことが、行政が絡むとできるというのも決め手ですね。自分にとっていい経験になっています。これまで、シェフって、自分で店を開いて、一つの城をつくるみたいなイメージだったと思うんですけど、もっと視野を広げて、その中の一つに店があるみたいな。そういう目線でやっていきたい。今後はもっと物事を俯瞰して見る力を身につけていきたいですね。 本田:この若さで任されるのも、すごいよね。それも出身地じゃない小松でね。まず食材も知らないわけじゃん。 糸井:本当にそうです。食材だけでなく、作家さんの器とかも一からリサーチしました。山菜を探しに山に入ったりもしています。