岐阜県美濃加茂市長の再審請求棄却 「悔しさや怒りがこみ上げてくる」
岐阜県美濃加茂市長の再審請求棄却 「悔しさや怒りがこみ上げてくる」
最高裁で汚職事件の有罪が確定したものの、無実を訴えている岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長(38)の再審請求に対し、名古屋高裁が1日、請求を棄却する決定を出した。藤井市長側は即日、異議申し立ての手続きをした。会見で藤井市長は「新証拠を提出できて(再審開始を)期待していたが、残念な結果になった。悔しさや憤りが強くこみ上げてくる」などと述べた。 【動画】岐阜県美濃加茂市長が再審棄却の判断受け会見(2023年2月1日)
最高裁での有罪確定から6年、再び市長職に就き無実訴え
2017年に最高裁で確定した判決によると、藤井市長は2013年の市議時代、プールの浄水設備を市立学校に導入するよう市にはたらきかける見返りとして、設備業者から計30万円の現金を受け取った。 15年3月の一審名古屋地裁判決は無罪だったが、検察側の控訴を受けた名古屋高裁は16年11月に懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金30万円の逆転有罪判決を言い渡した。 二審判決を支持した最高裁の有罪確定を受け、藤井市長は2期目の途中で市長を辞職。公民権を停止された後、21年11月に名古屋高裁へ再審を請求。22年1月には同市長選に出馬して市長職に返り咲いた。
新証拠を採用しなかった高裁側に「到底納得できない」
再審請求では、一審公判で検察側証人として出廷した業者の知人2人が、藤井市長側の弁護人に対して「(当時の証言は)検事の話に合わせた」「(業者側の弁護人の)作戦だった」などと話す供述を新証拠として提出したが、名古屋高裁はいずれも「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たらない」などと判断した。 弁護団の郷原信郎弁護士は「新証拠は全体で見れば確定判決の論理を崩すようなものだが、今回は新証拠を個別・分断的に見て棄却と決定しており、到底納得できない」と主張。 藤井市長はこれが冤罪事件であるとあらためて強調し、「どうしてここまで人の人生をたやすく翻弄してしまうのか。私自身のためだけでなく、泣き寝入りしている他の多くの人たちのためにも現状を変えていきたい。市長の公務には支障がないよう、私自身の時間の中で今後も戦っていく」と述べた。 (関口威人/nameken)