米国の次期USTR代表は対中強硬派、「戦略的デカップリング」主張
つまり、メキシコなどで中国企業が生産した製品や、中国製の部品が大量に使用された自動車などには高関税が課されるということだ。関税を逃れ、米国・メキシコ・カナダの貿易協定を利用しようと、一部の中国企業はこれまでにメキシコに移転している。
経済的威圧
米国企業を中国の経済的強要や報復から守る法律を成立させることも、グリア氏は議会に呼び掛けている。こうした影響を被った労働者や企業を関税による収入で支援したり、中国の報復により生まれた空白を突き、中国市場でシェアを広げる外国企業に対して大統領が行動できる権限を付与したりすることも、提言には含まれている。
これは中国が国内市場で米企業の販売を禁止する場合、米国がその企業に補償する可能性があるということだ。また、締め出された米企業に代わって、例えば大豆などをブラジルをはじめとする国が中国向けの輸出を増やし始めれば、米政府が措置を講じる可能性がある。
輸出規制
対中輸出規制を拡大し、航空機や輸送機器、従来型半導体製造装置なども含めるようにすべきだというのがグリア氏の主張だ。
現在の輸出規制は主に先端半導体に絞っているため、規制は大きく強化されることになる。この措置が実施されれば、中国は人工知能(AI)、軍事、通信に必要な最新の半導体技術や設備を入手できなくなる。米国はこれまでに、中国への輸出を制限するようオランダや日本、韓国などの国に圧力をかけ、中国が重要な技術にアクセスすることを難しくしている。
投資制限
米政府による対中投資の見直しを可能にするよう、グリア氏は議会に要求している。経済的・戦略的な重要性を持つ幅広いセクターが対象になるとし、米国の経済や国家安全保障にとって脅威になると判断される場合、投資を阻止する権限を行政機関に持たせるべきだと同氏は論じている。
バイデン政権は、半導体やAI、量子コンピューティングなど中国の先端技術分野に対する米国の投資に制限を導入する見通しだ。いくつかの投資は禁止され、そうでない場合でも米政府への報告が義務づけられる案件が出てきそうだ。中国外務省はこうした動きを強く非難している。