米国の次期USTR代表は対中強硬派、「戦略的デカップリング」主張
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領が米通商代表部(USTR)代表に指名したジェイミーソン・グリア氏は、中国を米国にとって「世代を超えた」挑戦と見なし、中国からの戦略的なデカップリングを主張している。
グリア氏はトランプ政権1期目の対中関税導入で大きな役割を果たした。当時のライトハイザーUSTR代表の首席補佐官を務め、同元代表と同じく対中強硬派だ。トランプ氏は既に政策案を公表し始め、カナダとメキシコからの全ての輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す意向を示した。
グリア氏は今年5月、米中経済安全保障調査委員会での証言で、トランプ次期政権が追求する可能性のある政策のロードマップを提示。その中には、米国の関税を免れようとする中国企業の第三国への移転を防ぐ措置などが含まれていた。
グリア氏が提言した主な政策は以下の通りだ。
通商関係
グリア氏は中国に付与した「恒久通常貿易関係(PNTR)」の地位剥奪と、中国製品に一段と高い新たな関税の賦課を議会に求めている。
中国にPNTRが付与されたのは、同国が世界貿易機関(WTO)加盟を準備していた2000年で、これにより中国製品には大半の他国製品と同様の関税が適用されるようになった。この地位を失えば、中国はキューバや北朝鮮、ロシア、ベラルーシなどと同じカテゴリーに属し、年間約5000億ドル(約75兆3000億円)に相当する米国に直接輸出される物品には全て、一段と高い関税が課される。
そうなると、「中国に投資して米国向けの輸出品を生産するビジネスモデルが持続可能だという確信がほとんどなかった」とグリア氏が言う2000年よりも前の状態に、企業は引き戻される。
関税規則
グリア氏は、第三国を経由した中国製品の米国への流入を制限することも提言。中国企業やその傘下部門が他国で生産する製品、あるいは一定割合以上の中国産品が含まれる製品について、自由貿易協定で保証される優遇措置を受けられないようにすべきだと主張する。