カナダのトルドー首相が与党党首を辞任か…物価高騰などで支持率低迷、少数与党で解散圧力
【ニューヨーク=山本貴徳】カナダ紙グローブ・アンド・メールは5日、ジャスティン・トルドー首相(53)が、与党・自由党の党首を辞任する意向を6日にも表明する見通しだと報じた。住宅価格の高騰などで支持率が低迷し、辞任圧力が強まっていた。 【写真】トルドー首相と座ったまま握手をかわす石破首相
報道によると、トルドー氏は8日に自由党議員団との会合が予定されており、多くの議員に要求される前に、自ら表明する必要があると考えているという。ただ、辞任の時期は不明で、新たな党首が選ばれるまで首相を続けることも検討しているという。自由党の党首選は3か月以上かかる見通しだ。
自由党は連邦議会(下院)の最大勢力だが、少数与党のため、新たな党首を選んだ場合でも、新政権を発足させるには、野党の一部との協力が必要になりそうだ。一方、野党第1党の保守党は早期の解散・総選挙を求めている。
トルドー氏は中道左派の自由党を率いて2015年に首相に就任した。政権発足時に男女の閣僚数を同数にしたことが話題となったほか、移民の受け入れに積極的で、性的少数者(LGBT)にも寛容な姿勢を示してきた。
しかし、コロナ禍の物価高騰や住宅価格の上昇などを受け、自由党の支持率は保守党に引き離されている。トルドー政権に協力してきた野党第3党の新民主党も首相の退陣を求める方針に転換した。米国のトランプ次期大統領が掲げる関税政策への対応を巡って、有力閣僚が辞任するなど、自由党内でも首相の求心力が急速に低下していた。