「不妊もお前のせいだ!」都合が悪い事を人のせいにする、モラハラ夫が心の内に隠している「3つの弱さ」とは
ついには不妊の原因まで妻のせいにする夫
「どうして子供ができないんだ?お前に問題があるんだろ!」 そんな言葉を投げかけられたとき、R子さんは胸が締め付けられる思いでした。夫は毎日のようにこの言葉を繰り返し、R子さんを精神的に追い詰めていきました。R子さんは病院で検査を受け、問題がないことを確認しましたが、夫は結果に耳を貸そうとしません。かたくなに「お前の体がおかしいから」と言い続けました。 『病院からご主人の検査をしましょうと言われると、「あのヤブ医者!うちの家系はだいだい子沢山なんだ。俺の体がおかしいなんていう医者がおかしい」と今度は医者の文句を言い出すのです。 義母には「あなたのせいで子供ができないって息子が言うのよ。あなた以前悪いことしたりしたんでしょ。」と意味のわからない疑いを向けられ、心が折れそうになりましたが、私は夫婦関係を保とうと、必死に耐え続けていました。』 普通の夫婦でも不妊の原因を妻にする方が多くいます。ましてやモラハラ夫が不妊を妻のせいにする理由は、主に心理的な防衛機制や自尊心の保護が関わっています。 夫自身が自分に不妊の原因があるかもしれないという不安や恐れを抱えている場合、それを直視するのは非常に苦痛です。モラハラ夫は問題から逃げるという特徴があるので、自己防衛のために無意識のうちに責任を他者、つまり妻に転嫁してしまいます。これは、自分を守りたいという心理からくるものです。 また、男性にとって「子供を持つ」ということが自身の男性性や価値に深く結びついていることがあります。もし自分に不妊の原因があると認めることは、彼のプライドや自己評価に重大な打撃を与える可能性があるため、その可能性を否定するために妻のせいにします。これは、自分の男性性や自尊心を守ろうとするのです。
夫の暴言で体調がおかしくなり辛さのあまり心療内科に通うことになる
夫から優しい言葉もなく毎日のように暴言を浴びせられ続け、ついには体調がおかしくなり内科で診察をしてもらったR子さん。その内科の先生から「あなたの今の状況を見ると、本院ではなくこちらに通ってください」と心療内科の受診を勧められ紹介状を渡されたのです。 『自分が心療内科に行くなんて夢にも思っていなかったので、最初は驚きました。でも本当に心療内科に行ってよかったと思います。心療内科の先生に「なんでも話して」と言われた途端堰を切ったように夫への不信感や、今の自分が辛すぎることを泣きながら話すことができました。先生は話を全部聞いてくれ「よく頑張っていたね。辛かったね。」とおっしゃってくださったのです。その言葉を聞いて私の夫婦関係はおかしい、自分は頑張っていた、自分は悪くないとほっとできたのです。このまま結婚生活を続けていても幸せにはなれない、自分の幸せは自分で掴むものだと自分を奮い立たせることができました。』 モラハラ被害者の方は精神的に追い詰められ、ストレス、不安、うつ症状などになり、日常生活に大きな影響を及ぼします。 心療内科に通うメリットは以下になります。 ●心身の健康回復 モラハラ(モラルハラスメント)は、精神的な虐待によって被害者に強いストレスや不安を引き起こします。これにより、うつ病や不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、さまざまな精神的な症状が現れることがあります。心療内科では、これらの症状に対する専門的な診断と治療を受けることができます。 ●自己肯定感の回復 モラハラ被害者は、長期間にわたって否定的な言葉や態度を受け続けることで、自己肯定感や自信を失うことが多いのです。心療内科では、カウンセリングや認知行動療法を通じて、自己肯定感を取り戻すためのサポートが提供されます。専門家との対話を通じて、自分の価値を再認識し、再び前向きな気持ちを持つことができるようになります。 ●精神的な症状の緩和や睡眠改善、神経の安定 モラハラによる精神的なダメージが続くと、自律神経のバランスが乱れることがあります。これにより、動悸、息苦しさ、頭痛などの身体症状が現れることがあります。抗うつ薬や抗不安薬などの薬は、これらの症状を緩和する効果があります。また、自律神経を安定させる薬や睡眠薬などが処方されることがあります。これにより、心身ともに安定しやすくなります。 ▶つづきの【後編】では、心療内科を訪れたR子さんに芽生えた「変化」についてお伝えします。R子さん夫婦はどのような結末に向かうのでしょうか?
モラハラ/HSP専門カウンセラー 麻野祐香