【職場の読解力】問題「業務におけるコミュニケーションの重要性について述べてください」の“読み方”と解答例
後の解答 トラブルが発生したときは、すぐに上司に伝えるとともに、現場のメンバーとも情報を共有することで、ダメージを最小限に抑えることができる。また、日ごろから職場のスタッフに対して、何かあったらいつでも相談するように伝えたり、気になるスタッフがいたらこちらから声をかけたりすることで、スタッフが安心して働くことができる。このように、コミュニケーションをとることは、業務上、極めて重要な意味を持っているのである。 ● 出題の趣旨を理解できなければ 減点の対象となる ここでの具体例は、「コミュニケーションをとることで、トラブルのダメージを最小限に抑えることができるし、スタッフが安心して働くことができる。だからコミュニケーションをとることは、業務上、極めて重要なのだ」というように、「コミュニケーションをとることがどれほど重要なことなのか」を説明するために挙げられています。 これならば、答案全体が「業務におけるコミュニケーションの重要性について述べてください」という問いかけの答えになっています。 小論文にしてもエントリーシートにしても、あるいは、履歴書や各種申請書にしても、「……について述べよ」「……を記しなさい」といった指示があります。先方は「このことを聞きたい」という意図を持って問いかけているのです。 先方が「聞きたいこと」と、書かれている内容が違っていれば、「そんなことは聞いていないのに」という反応になります。 実際、大手メーカーの人から聞いたことですが、「大学生から送られてくるエントリーシートを読むと、聞かれていることと違うことを書いている人が多い」のだそうです。そうなると当然のことながら印象はよくないですし、本来伝えるべき自分の思いが伝えられません。 中には「問いかけ」からそれていることを書いていても、中身がとても良かったので、先方の目に留まった、というケースもあるにはあるでしょう。ただ、それはまれなことでしょうし、そのために、問からそれたことを書くのはリスクが高い行為です。わざわざそういうことを狙う必要はないでしょう。 特に、大学入試や公務員・教員試験は、公的な試験です。公平性が重視されますから、「聞いていることと書いていることは全然違うけれど、面白いことを書いているから合格させよう」という恣意的な採点はできません。書いていることが出題の趣旨からそれていれば、減点になります。 採点基準として、「出題の趣旨を理解できているか」ということが明示されている場合もあります。ですから、出題に沿って書くことが基本です。このように、文章を書く上では、問題文をよく読み、内容を正確に理解するということがとても重要なのです。
今道琢也