なぜ日本の若者は韓国美容にハマり、K-POPスターに心酔するのか?
日本における新時代の「美しさ」を考えるうえでとりわけ興味深いのが、お隣の国、韓国からの影響。日本の若者たちが同じアジア圏に属する韓国の美意識に心酔する理由とは? 美容ジャーナリストの草分け的存在である齋藤薫さんにお話を聞きました。 美しい人へ
韓流ドラマにK-POP、コスメやファッション、スウィーツまで、コロナ禍の日本で起こった第4次韓流ブームは、まだまだ現在進行形。いまや欧米ヒットチャートの常連となったK-POPアーティストたちは、グローバルブランドのアンバサダーにも続々と抜擢されて世界を席巻。Z世代の若者たちのロールモデルになっています。 そして同じアジア圏の日本を始め、世界が心酔する韓国ビューティの魅力とは? 美容ジャーナリストとして常に「美しさ」を多角的な視点で捉え、日韓の美意識の変遷にも注目してきた齋藤薫さんにお話を聞きました。
カッコ良さに、清潔感と色気が加わった三位一体が韓国スターの魅力
── 早速ですが、韓国における「美しさ」の基準とは、どこにあるのでしょうか。 齋藤 薫さん(以下、齋藤) 韓国のスターは「美の本質」、「魅力の本質」にとても忠実なのだと思います。まず男女ともに圧倒的な清潔感を求められる。そのうえで女性には色気や可愛げがあって、男性は顔が端正でも体はマッチョ、それがまたセクシーというのがスターの条件です。 韓国は良くも悪くも“女性は女性らしく、男性は男性らしく”という考えが強いのですが、さらに歴史的な背景から「医食同源」がベースにあり、健康と美しさは体の内側からという教えが根付いています。そこで肌の清らかさや美しさに意識が向く。それが清潔感を重視することに繋がっているのだと思います。 色気だけではトゥマッチになってしまうところを、相反する清潔感を保つことで、うまくバランスが取れているのです。
齋藤 もうひとつ言えるのが、カッコ良さに対する意識。日本人は芸能人に限らず、カッコ良くキメるのが苦手な面があります。女性アイドルもカッコ良さより圧倒的に可愛いらしさが求められます。比べてK-POPスターは、ファッションからダンス、仕草まで常に100%のカッコ良さを追求する傾向にあります。 スターを目指す子供たちの層が厚いこともあって、みな命懸けで訓練をして、パフォーマンスの完成度を高めています。が、同時に養われるのがある意味の洗練で、それが完璧なカッコ良さの表現に繋がっていく。そのカッコ良さに、清潔感と色気が加わった三位一体が、多くの人を惹きつけるのではないでしょうか。 ── たしかに日本人はカッコつけることに、ちょっと照れがちです。韓国は愛情表現もストレートだと聞きますし、欧米的なのかもしれません。 齋藤 K-POPのスターは自国の芸能界ではなく、最初からその先の世界を見ています。グローバルな視点に立てば、可愛いだけではなく色気とカッコ良さは必須なのです。しかも、儒教の教えが根底にあるので、礼儀が正しく佇まいが凛としていてどこか清らかなイメージもあることが良いギャップともなっているようです。