連絡網廃止で「子どもの友だちの名前と連絡先がわからない」 デジタル化で変わった小学生や親の“つながり方”とは?
最初の大きな変化は連絡網が消えたことでした。私の子育て経験から言うと、2014年度まで小学校のクラス連絡網は存在していました。しかし、個人情報保護への意識の高まりとLINE の普及によって連絡網は役割を終え、ひっそりと姿を消しました。クラス名簿も同様です。こうして親たちは子どものクラスメイトのフルネームと連絡先を知る手段を失ったのです。 コロナ禍で連絡アプリを導入する学校も急増しました。ペーパーレス化が進み、学年便りや教育委員会からのお知らせ、給食の献立さえも、紙のプリントではなくデータで届くようになりました。ペーパーレス化は環境面、経済面への配慮もありますが、働き方改革の一環で「先生の仕事を減らすため」という側面も大きいです。学級通信や学年便りを廃止する、通知表の回数を減らすなど、学校からの発信は確実に減少しています。毎日の時間割をオンラインで配信する学校もあります。 保護者からは賛否両論あり、「プリント地獄がなくなった」「子どもがお便りを渡し忘れて困ることがなくなった」と称賛する声がある一方、「学校の様子がよく分からない」「データで来るお知らせはしっかり読まない」という指摘もあります。さまざまなオンライン化で学校と保護者の距離は以前より開いています。幼稚園や保育園時代との違いに慣れるまで、物足りなさを感じるかもしれません。いずれにしろ、学校の情報環境はこの10年で大きく変わったのです。 冒頭のA 君の事例のように困ることはよくあります。言い換えればママ友とつながっていることが、子どものコミュニティ形成にも関わってきます。やはり親同士が自主的に連絡先を交換するしかありません。お迎えや授業参観、役員会で会った時に声を掛けてLINE 交換したり、友人に紹介してもらったりして地道に連絡先をゲットします。 「年度始めに張り出されるクラス発表の一覧表をスマホで撮って、名簿代わりに記録しておく」という保護者もいますが、撮影を禁止する学校もあるようです。 ところがコロナ禍ではこれらの方法も困難になりました。感染予防のため入学式では私語禁止。学校行事は次々に中止され、授業参観やPTA 会議はオンライン化。親同士が知り合う機会が急減したのです。現在もまだ学校行事は簡略化されています。