連絡網廃止で「子どもの友だちの名前と連絡先がわからない」 デジタル化で変わった小学生や親の“つながり方”とは?
デジタルの進化やリスク管理、教員の働き方改革など、子どもたちを取り巻く環境は日々変化し、保護者も「自分が子どもだったころ」とはまったく違う様子にとまどっている方も多いかもしれません。最近の小学校では、どんなことが起きているのでしょうか。『親と子のギャップをうめる 知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド』(笠間書院)から紹介します。 【マンガで読む】不登校、親からみた世界・子どもから見た世界の違い(全31枚) ■友だちと遊ぶ約束をしたけれど… 「子どもの友だちの名前と連絡先が分からない」 小学校に入学してしばらくは、こんな困りごとに直面するかもしれません。日本では小学1年生から子どもだけでの外遊びを許す家庭が多いですが、低学年のうちは上手に約束できないことがしばしばあります。 「ただいまー! 今日、はる君と公園で遊ぶ」 とごきげんで帰ってきたピカピカの1年生のA 君。でも集合場所と時間が曖昧です。A 君のお母さんが相手の親に確認しようとしましたが、困り果ててしまいました。なぜでしょうか。 学校で連絡網や名簿が配布されないからです。 相手の親の連絡先が分からない、そもそも相手の顔や名前すらはっきり分かりません。クラスに「はる君」は3人。はる君なのか、はると君なのか、はるき君なのか。息子に聞いても首をかしげるだけ。「公園」といってもどこの公園なのかもはっきりしません。 結局親子でいくつかの公園を回って「はる君」を探したものの、午後5時までに見つけることができませんでした。この日、たまたま仕事が早番だったA 君のお母さんは、もし仕事で自分がいなかったらと心配します。 「もし私が不在の日だったら、きっと一人で公園をうろうろすることになっていたと思います。GPS は持たせていますがとても心配です。どこかで待っていたはる君のことも心配でした」 ■個人情報保護とデジタル化の影響 今や私たちの暮らしに欠かせないスマホですが、国内で急速に普及したのはこの10年ほどのことです。スマホが発売される少し前の2005年、個人情報保護法が全面施行されました。スマホ・LINE の普及と個人情報保護という二つの波が同時に押し寄せ、子どもたちを取り巻く情報環境は大きく変わりました。