<パリ五輪男子バレー>「長男が関田、次男が石川、藍は三男です(笑)」日本の攻守の要・髙橋藍。恩師が語る「めんどくさがり屋で、要領がいいエース」が描いた急激な成長曲線
2019年から母校である東山高バレー部のコーチに就任した松永理生氏。2020年には春高バレーで同校初の全国制覇。その年、主将かつエースとして活躍したのが髙橋藍だ。高橋はその4カ月後には日本代表登録選手に選出され、日体大に入学した直後から目まぐるしい勢いで成長を遂げて2021年の東京五輪にも出場。その後、石川祐希と同じように大学に在学しながらイタリアへ渡り、パドヴァ、モンツァで合計3シーズンを戦った。松永氏が見た髙橋の学生時代とは? 今へとつながる日々を振り返る。 【写真】石川祐希、髙橋藍、関田誠大を学生時代に指導した松永理生氏
選手たちの成長のために「都合よく使ってもらえればいい」
――中央大から母校・東山高のコーチになった際に出会った、髙橋藍選手の当時の印象は? 松永(以下同)祐希よりも身体の線が細かったですね。レシーブは当時から長けていましたが、攻撃面に関してはまだ硬さもありました。正直に言えば、これほどのスピードで成長していくとは思いもしませんでしたね。 ――大学では関田選手と石川選手、高校では髙橋選手。「松永さんは、どれだけ名選手を引き寄せるんだ」と見る人もいますが、ご自身ではいかがですか? 彼らが成長する、世界へ飛び出す、自分がしたいことをするために“利用できる人間”が僕であり、そういうタイミングで出会っていると思うんです。だから都合よく使ってもらえればいいと思うだけで、自分が「得をした」と思うことはないですね。 僕のキャリアを振り返ってみてもそう思います。小学生からバレーボールを始めて、中学で選抜に選ばれたけど体が大きかっただけで、本来とは違うポジションに入れられた。 高校ではインターハイベスト8が最高成績で優勝経験はなし。パナソニックパンサーズ(現大阪ブルテオン)に入って、日本代表にも選ばれたけれどすぐに外れて、豊田合成トレフェルサ(現・ウルフドッグス名古屋)に移籍してからも出場機会がなく、肩を痛めて引退した。 下積みもなく、指導者になってからはゼロから築き上げていかなければならないことだらけで、指導者としての経験も浅い。もがいていた時に祐希が中大に来る、という選択をしてくれて、「彼を何とかしたい」と必死だった。その繰り返しです。 東山高に来た時もチームは全国大会から遠ざかっていたので、藍が3年になる時に合わせて「絶対に彼らを全国に連れていく」「日本一になったことがないチームを日本一にする」と。 僕が運を持っているわけではなく、運を持っている人たちが引き寄せて、自らの成長のために利用してくれる。僕の人生はそういうものだと思っています。
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