なぜ魔女はとんがり帽子をかぶってほうきに乗るのか、イメージのもとになった2人の魔女
老いや強大な力を持つ女性への不安
王妃は、米国人が魔女に対して持つステレオタイプを具現化した典型的イメージを作り上げただけでなく、一瞬にして、老婆と美女という二者の対比を鮮明に示した。若い世代の多くは、この魔女のイメージが心の中に定着している。 王妃は、邪悪だとわかっているのに抗えない魅力的な女と、無害に見えて実は悪さをしようと手ぐすねひいて待っている老婆の両方を体現している。このシーンは、老いることや邪な考えを持つ女性、見た目に騙されてしまうことへの文化的な不安をただ映し出すだけでなく、植え付けもしている。 どちらの姿であれ、あるいはまだ想像すらできない姿であれ、こうした女性は警戒すべき存在なのだとわかる。それに気づいて、ぞっとする。白雪姫がそうだったように、私たちはこの人は警戒すべきだと気づけないかもしれないのだ。
文=Johnna Rizzo/訳=夏村貴子