「勉強を頑張る」のは「我慢する」ことなのか? 元ビリギャル・小林さやかさんが語る、最強の勉強法
親の重要な使命とは?
――勉強に限らず、「つらいからこそ意味がある」という考え方は日本には確かにありますね。古い根性論みたいなものが染みついているというか。 でもそれは、先ほどのモチベーション理論に当てはめると大きく間違っているんです。日本人の考え方でやれる人は、ごく一握りのめちゃくちゃ辛抱強い人だけです。それはそれですばらしいけれど、少なくとも私は無理だし、たぶん多くの子どもも同じだと思います。大事なのは、「嫌だけど我慢強くやらせる」ことじゃなくて、本人がやりたいと感じていることです。それを無視して親が「勉強させたい」と言うのは、エンジンのかかっていない車を後ろから無理やり押すようなものです。だから親御さんや周りの大人には、その子がエンジンをかけるための適切な言葉をかけたり、環境を整えたりすることに意識を向けてもらえたらと思います。成功体験を重ねることで自信がついて、子どもたちはちゃんと自分で走れるようになるんです。 ――親は「ここがダメ」「これもできなかったでしょ」とバツを積み重ねてしまいがちかもしれません。そうではなくて、成功体験を積み重ねていくことで自信がつくんですね。 自発的なモチベーションもないし、正しい努力の仕方も知らない、しかも適正な環境もない状態で頑張れないのは、子どものせいではないと思います。それなのに「地頭が悪い」とか、「集中力がない」とか、まるで本人が悪いみたいに言われてしまうじゃないですか。それが一番怖いし、やめてあげてほしいと思います。お子さんに勉強や努力の仕方を教えてあげてほしいし、親御さん自身も新しいことに挑戦する努力をしてもらえたらと思います。ぜひ親子でチャレンジを楽しんでください。 ――最後の質問です。「子どもにとって重要なのは親を味方につけること」と著書でも書かれていますが、子どもの味方になるために、親はどうすればいいでしょうか。 親御さんが、やいのやいの言って子どもにストレスをかけることが、めちゃくちゃ子どもの勉強の邪魔になっていることがあると知っておくことです。勉強するときに重要な脳のワーキングメモリは、容量が決まっています。そこに「お母さん、勉強しろってしつこいな」とか「俺って頭悪いんだよな」などと、ちょっとした雑念が湧いただけで、すぐその容量が減ってしまうんです。それはやる気をそぐというレベルではなく、純粋にパフォーマンスを下げます。ただ「勉強しろ」と言っても、何もいいことはありません。