朝ドラ『虎に翼』寅子の人生を表す「はて?」なことわざとは? 【週タイトルの意味を振り返り! 1~4週】
NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』は第12週まで放送された。物語全体の中盤にきたところで、これまでの約3ヶ月間の週タイトルの意味とストーリーを振り返っていきたい。今回は第1~4週をお届けする。 ■第1週「女賢しくて牛売り損なう?」 「女は利口そうに見えても目先の利益にとらわれて、大局を見通すことができずに失敗する」という意味である。売れるはずの牛を、浅知恵ででしゃばったために売り損なったという故事が由来とされている。 女性はできるだけ良い相手と結婚し、子を産んで良妻賢母になって生きることが一般的な幸せとされていた時代、寅子(演:伊藤沙莉)は書生・佐田優三(演:仲野太賀)に弁当を届けに行った先で法律の授業を目の当たりにし、自身も法律を学びたいと思うようになる。しかし、母・はる(演:石田ゆり子)にしてみれば、娘が優秀であることは認めながらも、一時の気の迷いで視野が狭くなっているように思えたし、長い目で見て娘の幸せを考えればこの辺りで縁談をまとめたいという思いがあった。それゆえの週タイトルだったのだろう。 ■第2週「女三人寄れば姦(かしま)しい?」 「女性はおしゃべりなので、3人もいれば騒がしくて仕方がない」という意味。そもそも「姦」という字が「女」3つでできている。 寅子が明律大学女子部に入学し、同級生たちと出会った週だ。理想を胸に切磋琢磨しようとする女子学生らに対し「うっとうしい」と怒りを露わにしたのが山田よね(演:土居志央梨)だった。彼女から見た当時の寅子たちが、この言葉に当てはまっていたのかもしれない。 ■第3週「女は三界に家なし?」 「三界」とは、仏教の言葉で「欲界・色界・無色界」を指し、すなわち「全世界」を指すとされている。つまり、女性には生まれてから死ぬまで、この世界のどこにも安住できる場所はないという意味になる。これは、生まれては親に従い、嫁に行っては夫に従い、老いては子に従わなければならないとされていた女性のあるべき姿を象徴することわざだった。 この週のもう1人の主役が寅子の親友であり兄嫁になった花江(演:森田望智)だった。姑のはるになかなか認めてもらえないと思い悩むなか、悪気なく女中と間違われ、寅子に「兄嫁」と説明されてしまい、花江は深く傷つく。この時代の一般的な女性が歩む道にいる花江の苦悩をよく表していたタイトルだった。 ■第4週「屈み女に反り男?」 「女性は少し前かがみで下を向いているような控えめな姿が美しく、男性は誇らしげに胸を張っている姿が立派である」という意味。いわゆる「女らしさ」「男らしさ」を端的に表したことわざである。 大庭梅子(演:平岩 紙)の夫・大庭徹男が登場。エリート弁護士として尊敬される夫に、召使のように蔑まれる梅子の苦しさと、親権を得るために学ぶことを決めた強さが描かれた。そして、ハイキングで寅子と花岡悟(演:岩田剛典)が口論するシーンが週のハイライトだろう。本音をぶつけ合い、親友・轟太一(演:戸塚純貴)に諭された花岡は、自分が理想の自分になるために虚勢を張っていたことを梅子に吐露した。そういう、男女それぞれが抱える苦しさにスポットが当てられた1週間だった。
歴史人編集部