「代理出産」は女性の搾取か?桐野夏生原作NHKドラマ『燕は戻ってこない』。女性だけが負う生殖のリスクを改めて考える
◆生殖は究極の不平等だ 理紀とりりこが春画を囲んで対話するシーンで、理紀はこう言う。「楽しさのあとに、女だけが割を食うなんて」。りりこもこう言う。「当時は不妊の技術も不確かだし、出産で亡くなる女も多かっただろうから、本当女ばっかり不公平だよね」 生理があるのは女性、性行為で痛みを負いやすいのも女性、生理が来ないとき不安な日々を過ごさないといけないのも女性、不妊治療で強い痛みを負うのも女性、妊娠で体調不良になったり、仕事を休まないといけないのも女性。出産で壮絶な痛みと闘い、命の危険にまで晒されるのも女性。孤立出産をして遺棄した場合、法的責任を問われるのは女性だけ。 生殖は究極の不平等だ、と思う。この物語は、その事実を改めて突きつけた。 エンタメとして非常に優れた本作だったが、代理出産の問題点をこれでもかとあぶりだしていたように思う。 最終話の理紀のセリフで、こんなものがある。「私は機械じゃない」「私に残るのは傷跡だけ」 妊娠に伴う体調不良や、妊娠期間、出産における身体の不安、痛み、危険。自由や時間、尊厳。それらの対価として足りる金額など、あるのだろうか。海外では既に行われている代理出産。日本で生きる私たちも、この問題について一度考えてみるべきだろう。
ヒオカ
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