中国株も人民元も下落-「中央経済工作会議」への期待後退
(ブルームバーグ): 11日の中国本土市場では、株式相場と人民元が下落。12日まで2日間開催される見込みの「中央経済工作会議」は2025年の経済運営方針が焦点だが、米国との貿易戦争の可能性を見据える共産党指導部が公約通りに力強い成長刺激策を打ち出すとの期待が急速に弱まった。
本土株の指標CSI300指数は午後に入り一時0.5%下落。終値は0.2%安となった。人民元は一時0.5%下げ1ドル=7.2921元を付けた。政策当局が元安容認を検討しており、恐らく1ドル=7.5元程度までの元安が視野に入っているとロイター通信が報じた。
元売りはアジア太平洋地域の他通貨に波及し、オーストラリア・ドルとニュージーランド・ドルが少なくとも0.4%値下がりした。一方、中国の10年国債利回りは再び過去最低を更新した。
中央経済工作会議には通常、中央・地方政府の指導者や国有の金融機関・企業トップが参加。投資家はこの会議を通じ、政策当局が来年に向けたアプローチをどのように練っているのかについて新たな情報を入手する。
中国共産党の習近平総書記(国家主席)をトップとする中央政治局は9日、経済を支えるため「適度に緩和的」な金融政策と「より積極的」な財政手段を講じると表明。10年余り前の世界金融危機以来見られなかった強い表現で、経済を支える方針を示した。
UBSグループの汪涛チーフエコノミスト(中国担当)は、米国が関税を引き上げる可能性を踏まえ、中国政府は今後2年にわたり政策支援を強化する公算が大きいと分析。これには、今回の工作会議で25年に向けより支援的な政策をにじますことが含まれるという。
工作会議では25年の成長目標が話し合われる可能性が高いが、具体的な数値は来年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で発表される見通し。
UBSとシティグループのエコノミストは、市場の期待を安定させるため政府は今年と同じ5%前後の成長率目標を設定するとみているが、その達成は難しいかもしれない。