脳挫傷からの復活で筑波戦は救世主に…大阪体育大2年生DF高橋大空が感謝のインカレ全試合出場「一つ一つの試合で恩返ししたい」
[12.22 インカレ準々決勝 東洋大 3-1 大阪体育大 さくらスタジアム] 1年前に試合中の接触プレーで脳挫傷の重傷を負い、一時はサッカーを続ける未来さえ危ぶまれた大阪体育大DF高橋大空(2年=星稜高)がインカレの大舞台で全4試合に出場し、確かな存在感を示した。「いまは怖さはあまりないけど、たぶん周りで見ている人のほうが怖いと思う」(高橋)。大会前に「楽しんで」というメッセージをくれたという両親をはじめ、不安の中で支えてくれる人々のためにも、自らと向き合いながらプロへの階段を登っていく構えだ。 【写真】「イケメン揃い」「遺伝子を感じる」長友佑都の妻・平愛梨さんが家族写真を公開 高橋は昨年11月、セカンドチームの一員として出場していたIリーグ公式戦中に相手選手と頭部が接触。救急搬送された末に脳挫傷の診断を受け、数か月にわたってピッチから離れることを強いられた。医師には当初、「プロを目指すような高強度でのプレーは続けることは勧めない」という助言を受けたといい、当時の経緯を記したnoteには「泣いた。泣きまくった。辛すぎて何も考えたくなかった」という悲痛な思いも記している。 それでも高橋は慎重な検査を受けながら回復プログラムに取り組み、医師の「セカンドオピニオン」ならぬ「サードオピニオン」を経て今年4月に実戦復帰。続く5月には足首の負傷で再び戦線離脱を強いられる時期を経験しながらも、トップチームでの出場機会を獲得し、このインカレに間に合わせた。 「大きなケガをしていろんな方々にお世話になっていた中、スタメンとして使っていただけるということで一つ一つの試合、一つ一つの結果で恩返ししたいと思っていた」(高橋)。 託されたポジションは3バックの中央。競り合いの多いポジションではあるが、「一番後ろの選手がビビっていたらチームは劣勢になってしまうのでビビらずにやっている」という覚悟でピッチに立ち、負けたら敗退が決まるグループリーグ第2戦・筑波大戦(△0-0)では終了間際にチームを救うスーパーブロックを見せるなど、全4試合の出場で8強進出に大きく貢献した。 準々決勝の東洋大戦では1-3で敗れ、無念の敗退となったが、「高校から投げていた」というロングスローで一矢報いるDF池戸柊宇(1年=京都橘高)のゴールをアシスト。強風にも負けないロングキックでも違いを見せ、「最終的にはもちろんプロを目指しているので、強い意志を持ってやっている」という未来への可能性を感じさせるパフォーマンスを見せていた。 これで大学生活は折り返し。来季は引き続き自身のコンディションと向き合いながら、さらに圧倒的な存在になっていくことが期待される。一つ目のミッションは5年ぶりのインカレ出場(コロナ禍特例大会を含めれば4年ぶり)を果たした経験の継承だ。高橋は「今回はベスト8で終わってしまったけど、遠征に帯同していないメンバーにも想いを伝えていくことが大事。大阪に戻って日々の練習から熱量を持って広げていきたい」と意気込んだ。