【通好みの京都建築ガイド】京大名誉教授の建築家・岸和郎さんが厳選!激シブな京都レトロ建築5選
京都通の建築家が考えるとっておきの京都とは?今回、教えてもらったのは、京都大学名誉教授や京都工芸繊維大学名誉教授、京都芸術大学大学院教授を歴任する傍ら、建築家として大型の公共建築や商業施設、寺院や住宅などを設計している岸 和郎さん。現代的でスタイリッシュな作風が印象的ですが、ここでは原点ともいうべき価値ある京都のモダン建築を厳選くださいました。 「京都には、京都会館や国際会議場など近代建築史上重要な建築もありますが、ここでは京都をベースに仕事を残した建築家の作品を紹介したいと思います」と岸さん。見慣れた観光スポットやあの大学にも価値ある名建築が佇んでいることを教えてくれました。 通好みの建築スポットを早速、見ていきましょう。 【写真集】建築家・竹山 聖さんがおすすめする京都の絶対見るべき建築と庭
先斗町歌舞練場(1927年)/中京区
京都大学建築学科を創設した建築家・武田五一(たけだごいち)の作品。京都大学時計台をはじめ京都市役所など、京都に限らず関西に多くの作品を残した建築家です。 先斗町歌舞練場(ぽんとちょうかぶれんじょう)は、その京都の街中に残る作品で、武田の京都の街並みに対する考え方も読み取れる作品となっています(岸 和郎さん)。
本野精吾自邸(1924年)/北区
京都工芸繊維大学の前身、京都高等工芸学校で教鞭を取った建築家・本野精吾(もとのせいご)の自邸です。 我が国最初期のコンクリート打ち放しで、即物的な建築が特徴。京都工芸繊維大学キャンパスにも、6号館など本野の作品が残っています(岸 和郎さん)。
京都大学体育館(1972年)/左京区
分離派(大正9年に結成された分離派建築会に所属)の建築家・森田慶一の後に京都大学で教鞭を取った増田友也の代表作です。 ル・コルビュジェの後期的なファサードをもつ建築ですが、前面の東大路、その向こうの京大キャンパスに対する増田の都市的な視点を見ることができます(岸 和郎さん)。
大谷大学本部・研究室棟(博綜館+尋源館)(1982年)/北区
キャンパス奥に残る旧本館をピロティ越しに望む建築で、歴史的な建物の前に現代建築がそれを切り取るフレームとして建っています。 歴史的な建築と現代建築との新しい出会いの提案であり、設計者の川崎 清も京都大学で教鞭を取りました(岸 和郎さん)。
新行政棟・文化庁移転施設(2023年)/上京区
旧京都府警本部(1928)を再生し、それに新棟をつなげた建築です。同時に京都府庁舎(1905年)に対面する建築でもあり、新町通に120mにわたって延びる建築でもあります。 単体の建築というよりも都市景観を創造しようとしたもので、私がデザインアーキテクトとして参加した作品でもあります(岸 和郎さん)。 神社仏閣だけでなく、 実は近現代の名建築も味わい深い京都。訪れた際にはぜひ岸さんおすすめの建築をチェックしてみてください。