「野球・冬リーグ」にプロ球団が選手派遣する真因…劇的に進化したジャパンウィンターリーグの中身
野球の「ジャパンウィンターリーグ」(JWL)は、毎年11月下旬から12月にかけて、温暖な沖縄の地で、1カ月弱の期間、リーグ戦を展開している。このコラムでは1年目からJWLのレポートをしているが、3年目となる今季、NPBの球団が初めて選手やコーチを派遣するなど、その内容が大きく変わった。 【写真】全試合をDAZNが中継することに ■プロのスカウトも注目する「ウィンターリーグ」とは 創業者の株式会社ジャパンリーグ代表、鷲崎一誠氏は慶応義塾大学野球部出身だが、大学時代は試合出場機会がなかった。卒業前にアメリカ・カリフォルニアで行われたウィンターリーグに参加した。ウィンターリーグとはオフシーズンにプロ、アマの選手が参加するリーグ戦だ。
プロのスカウトも注目していて、優秀な選手はプロ球団に入団する可能性もあるので「トライアウト・リーグ」とも言われている。鷲崎氏は約1カ月間リーグ戦に参加して大学時代満たされなかった「野球をする愉しみ」を存分に味わった。 卒業後はユニクロを展開するファーストリテイリングに就職し、将来を嘱望されたが「30歳で日本初のウィンターリーグを創設する」という夢の実現のために退職、2022年に沖縄で第1回のJWLを行った。
このイベントは集まった選手をチームに分けてリーグ戦を行う。参加者は沖縄県内のホテルに宿泊し、連日試合を実施。チームにはオリジナルのユニフォームが支給される。 また試合の模様は動画で配信されるが、この動画には弾道測定器「ラプソード」などで計測した選手個々の投球、打球のデータがオンタイムで表示される。また選手の詳細なデータは提携したNPB、MLB、独立リーグなどのスカウトに提供される。いわゆる「リモートスカウティング」を行っているのだ。
参加するには1人40万円前後の費用負担が必要だ。社会人選手などは、会社が費用を負担して選手を派遣しているところもある。しかし、このリーグでのプレーが評価され、独立リーグ、社会人チーム、海外のプロチームなどからオファーが来ることもある。ただNPBのドラフトが終了した後なので、NPB球団にすぐに入団することはできないが。 ■今年は西武、楽天、DeNAが選手やコーチを派遣 1年目は高校生、大学生、社会人野球選手、独立リーグ選手や所属のない選手なども参加。海外からも選手が参加する、さまざまなレベルの選手によるリーグ戦だった。球場はDeNAが春季キャンプで使うアトムホームスタジアム宜野湾(宜野湾市)、広島の2次キャンプ場であるコザしんきんスタジアム(沖縄市)など一級の施設で行われた。参加者は66名だった。