珠洲は今──1年たっても「まだ水が出ない」「相当異常」 再建から10日で…2度目の自宅被害、“思い出の場所”で迷う心
能登半島地震から1年。鈴江奈々アナウンサーが、石川・珠洲市で取材しました。地震や豪雨で被害を受けた神社の宮司は、最も必要なものにインフラを挙げました。思い出の場所にあった自宅が2度壊れた70歳の男性は、気持ちが揺らいできているといいます。 【動画を見る】「まだ水が出ない」「もう限界」2度の自宅被害 “思い出の場所”に再建できるのか 石川・珠洲市<能登半島地震から1年>
■本殿の公費解体が終了したのは12月
鈴江アナウンサーが訪ねたのは、珠洲市で600年近く続く羽黒神社の宮司、高山哲典さんです。1年前の地震で神社は倒壊。手つかずだった本殿の公費解体がようやく終わったのは、去年12月のことでした。 「寂しいですけど、しょうがないですよね。潰さないことには次に進まないですから」と高山さんは話します。
■夜の町は「真っ暗で誰もいない」
高山さん 「お正月の初詣(参拝客)は相当少ないかなと思っています。帰省諦めたというか、帰省しても家がないですから。泊まる場所もないですから」 鈴江アナウンサー 「地域の変化は、1年振り返ってどういう状況ですか?」 高山さん 「夜来るとわかるんですけど、真っ暗で誰もいないですから。ゴーストタウンでしょうかね。歩いていると怖いですよ、本当に。誰もいないので」
■146人死亡、5000棟以上に被害
去年元日の地震で、珠洲の町は一変しました。12月24日時点で災害関連死を含めて146人が亡くなり、5573棟の住宅被害がありました。 高山さんが管理する別の神社も、崩れてしまいました。「ひどいですよね」と高山さん。地震では無事でしたが、去年9月の奥能登豪雨で全壊しました。 高山さん 「またかよ、という感じですよね。踏んだり蹴ったりで」
■渡すことができた新年のお札は半分に
かつて交流があった人たちの姿も、今はありません。 毎年、高山さんが1軒1軒訪問し、新年のお札を渡してきました。今は、どこに誰が住んでいるかわからないため、神社の中で配ることにしました。一人ひとりに渡す神事を始めるという高山さん。「何人来られるかわかりませんけど…」 この日集まったのは、わずか5人でした。高山さんはおはらいをし、「くれぐれもよいお年をお迎えください」と挨拶しました。直接お札を渡せた人を合わせても、前回(一昨年)は約120体、今回(去年)は約70体と半分ほどになりました。