ロシア非難決議への賛同国数が「激減」する…ここへきて「ウクライナ」の求心力が「急低下」している「3つのワケ」
なぜウクライナへの支持は減っているのか
2022年と2023年の国連総会におけるロシア非難決議では、141カ国の賛同があった。それなのになぜ、2024年の今では、77カ国以上のウクライナへの賛同が集まるかは不明な状態になってしまっているのだろうか。 戦争の長期化を忌避する心情、欧米諸国に対する不信、そして反欧米陣営の求心力、という三つの要素を、とりあえず指摘しておくことができるだろう。
戦争長期化を嫌う心情
まず戦争の長期化を嫌う心情が、世界各国に広がっていることは、否めない。それがロシアとの交渉を拒否するウクライナに対する不満につながっている。 2023年の5月頃から、ウクライナは、いわゆる「反転攻勢」と呼ばれた軍事攻勢を仕掛けた。これは目立った成果をあげることがないまま、冬になり、戦線は膠着した。これまでの軍事的手段だけでは、劇的な戦場の変化が訪れる様子がない。そのため戦争がいたずらに長期化して世界経済などにも悪影響を及ぼし、さらには双方が使用する軍事手段を高めて戦争の被害がいっそう甚大になっていく恐れもある。NATO構成諸国が、直接参戦する可能性も、ゼロとは言えない。戦争を終わりにさせてほしい、というのが、諸国の本音だろう。そのため交渉による戦争の終結の可能性を拒絶しているウクライナの態度に、不満が集まることになる。 2023年の世界各国のウクライナ向けODA(政府開発援助)の総額は、アフリカ大陸全域に対するODAの総額を大きく上回った。欧州域外の諸国にとって、これ以上ウクライナを国際的な注目の的にしておきたい理由はない。 もちろんウクライナは、領土が回復されない限り、最終的な平和は訪れない、という立場だ。だが世界各地で、領土紛争は多々ある。それら全ての地域で、戦争継続しか方法はない、という結論が取られ始めたら、大変なことになる。世界の大多数の諸国にとって、領土問題の継続審議と、停戦の促進とは、両立しうる議題でしかない。 昨年の春先からウクライナの「反転攻勢」が強行されたのは、アメリカの大統領選挙の選挙戦が本格化する前に、目に見えた戦果をあげて、アメリカの選挙民にアピールしておかなければならなかったからだろう。少なくともバイデン政権関係者は、それを強く望んでいたはずだ。だが戦果は出なかった。今年2024年は、もはや2023年ではない。アメリカの議会は予算案をめぐる空転を経験した。世論調査では、トランプ前大統領がバイデン大統領をリードしている。その前トランプ大統領は、自分が当選したら、ウクライナへの巨額支援は止める、と公言している。この流れを見て、ウクライナの戦争継続努力への支援を呼び掛ける欧米諸国に相乗りしたいと思う諸国が少なくなるのは、どうしようもない。