集中力のゴールデンタイム「ゾーンに入る」ために知っておきたい、いくつかのこと
ウィキペディアの記事で、項目名の後ろに「(疑似科学)」という注釈がついていたら、その記事で説明されている説は信憑性が疑わしいことを意味しています。いわゆる「バイオリズム」についても、これが当てはまります。 バイオリズムとは、その日その日の調子の良し悪しが、身体は23日、感情は28日、知性は33日という周期的パターンで変化するという説。 この説そのものはまったく根拠がありませんが、これとは別に、その人の生産性の「ピーク」を特定するための、より科学的に根拠のある方法は確かに存在します。
「バイオリズム」と「概日リズム」の違いは?
バイオリズムとは? バイオリズムとは、約1カ月の周期で、身体、感情、知性面での能力が周期的に上下するという概念をもとに編み出されたもの。 そして、人はそれぞれが持つスケジュールに従いつつ、調子の波がサイクルの頂点に達しているタイミングで行動するのがいいとすすめられるのです。 この説を検証した科学者たちは、これはまったくのデタラメだとの結論を出しています。 しかし、バイオリズムは今でも根強く信じられていて、お金目当てのインフルエンサーなどが、「自分のバイオリズムを『ハッキング』して、活力や生産性、幸福度を最大化できる」と謳う製品を売りつけようとしている状況もあります。 概日リズムとは? 一方、概日リズムはこれとは少し違います。 米国立総合医科学研究所(NIGMS)によると、概日リズムとは、約1日の周期で身体、精神、行動に変化が起きるというもので、そのきっかけとなるのは明暗の周期です。 こちらには、時間生物学という科学的な根拠があります。 要するに、周囲が暗くなってくると疲れが生じ、夜になると身体が睡眠を欲し、日の光を浴びると起き出して、(理想を言えば冴えた頭で)タスクをこなす、というわけです。 多大な労力をかけて自分のリズムを「ハッキング」することもできますが、やるべきことは、「夜はしっかり寝る」「眠る前には、運動したりスマホを見たりしない」「朝は屋外に出る」「一定のスケジュールを守る」といった当たり前のことばかりです。 バイオリズムは架空の概念ですが、概日リズムは現実に存在するのです。 一定のリズムを守り、質の高い睡眠を取ることができれば、生産性は上がります。しかもこの技は、自分の調子の良し悪しを逐一トラッキングしたり、インチキ臭い有料アプリを使ったりしなくても、マスターすることができるのです。