エントリーシートを埋められない学生たち。『仕事に行きたくなーい』『上司が~(愚痴愚痴愚痴)』幼児期から見ている親の言動【キャリアコンサルタント】
「私の母は何もできないんです」という学生たち
「最近はだいぶ減りましたが約7年前、とくにいわゆる難関大学と呼ばれる就活面談で、頻繁にこの言葉を聞きました。 今はきっちり反論していますが(笑)、当時私は駆け出しのキャリアコンサルタントだったので面食らったことをよく覚えています。 7年前の大学生の母なら、結婚・妊娠を機に退職する女性が多かった時代では? と推察します。 学生たちが何を基準に『母は何もできない』と、言っているかはわかりません。中には『母は専業主婦の前は〇〇(女性に大人気の職種)をやっていました』という学生もいましたから。 もしかしたら母親自身が『私は専業主婦だから~』と、卑下していたのかもしれません。『お母さんみたいになったらダメよ』と、言っていたのかもしれません。 どちらにしても残念な気持ちになりました」
自分たちの生活は、大勢の誰かの支えで成り立っている
「NASA(アメリカ航空宇宙局)の清掃員の有名なエピソードをご存じでしょうか。 アポロ計画が進んでいた時代、ケネディ大統領がNASAを訪問した際に、ほうきをもった清掃員に『何の仕事をしているの? 』と、尋ねると『大統領、私は人類を月に運ぶ手伝いをしています』と、誇らしげに答えたのです。 清掃員は『僕は“月へ行くという目的”のために働くひとり』と、答えたのです。 私も子どもの小学校の『しごとについて』という授業で、子どもたちの付き添いでお花屋さん訪問をしたことあります。 『きれいに見えるようにどんな工夫をしていますか? 』 『人気の花はなんですか? 』 と、いう子どもたちの質問に丁寧に答える店員さんが、自分の仕事について 『誰かの気持ちをカタチにする仕事だよ』 と、答えたのです。私は素敵すぎて思わず感動。 『ちょっと今の聞いた? 聞いた? ちゃんとメモった? とてもすてきなことを言ったんだよ!』と、叫びたい気持ちをぐっとこらえたほどです(笑)」 「池上彰さん(監修)の『なぜ僕らは働くのか』では『社会はパッチワークの組み合わせ』と表現しています。自分たちの生活は誰かの仕事に支えられているパッチワークのようなもの。自分はどのパッチワークとなって社会に貢献できるのか、仕事とはそういうものと説いています。 もしかしたら、ママパパの中には『自分の仕事は花形じゃない』と、思う方もいるかもしれませんが、そうとは限らないと思います。 何かしら社会を、誰かを支え、役立っているのです。そしてその背中を子どもたちはしっかり見ていると感じます。 イキイキと仕事をする自分の姿を、子どもたちにしっかりと見せてあげてください。 ゆくゆくは、子どもたちが夢をもって仕事に就くという、大きな礎となるはずです」 次回は、塚本さんが自分の娘にも実践している「日常生活で親ができるキャリア教育」についてお伝えします。