更地より割安「古家付きの土地で家づくり」はメリット大。宅建士が実体験を解説
●間取りなどをイメージしやすい
上の図は、筆者が購入した古家付きの土地の建物配置図です。この家でまず暮らしてみたことで、その後、新築した間取りやスペースの使い方が、イメージしやすくなりました。道路からの視線や、お隣との窓の関係、日当たりなどを実際に確かめることができてよかったと感じています。 既存の住宅の間取りをたたき台として、どの部分を改修すべきか、どのように新しく設計すればよいかを、具体的に考えられるのは大きな利点です。現物を見ながら計画を立てられるので、抽象的なプランニングに不安を感じる方にとっては、大きなメリットになるのではないでしょうか。 また、更地というのは目の錯覚なのか、実際よりも狭く見えます。そのため、こんな狭い土地を買って家が本当に立つんだろうかと、心配になる場合もあります。しかし、既存の家があれば家の大きさ、駐車スペース、庭の広さなどをイメージできます。
中古物件を購入し建て替えるときに注意すべきこと
メリットの多い古家付きの土地ですが、注意しないと後悔することがあります。
●地下埋設物がある可能性に注意
古い家を解体する際、地中から浄化槽や瓦礫(がれき)・古井戸などが埋まっていることがあります。これらは撤去してから家を建てるのが当たり前ですが、古い家の場合、こうしたものを撤去せずに地中に埋めて、その上に家を建てている場合があります。 地下埋設物については、売主側に撤去の責任があるのですが、その責任も一定期間がすぎると消滅します。そのため、しばらく購入した物件で暮らし、売買から期間があいてしまうと、埋設物の撤去は自分で行う必要がでてきます。 埋設物が出てきたときの対応について、きちんと話をしておかないとトラブルにつながる可能性があります。ですから、売買を仲介する不動産業者も交えて、きちんと話し合いをしておきましょう。 ちなみに、これらの対応については、契約時に交わす重要事項説明書の特約事項の欄に、記載するのが一般的です。
●私道に接していると許可が必要になるケースが…
これは、更地の場合も同じですが、土地の前面道路が私道に面している場合も注意が必要です。水道やガスなどの工事で、地面を掘削する必要がある場合、私道の所有者に許可をもらう必要があるからです。 新たに家を建てる目的で土地を取得する場合には、売主側の責任で許可を取ることになります。しかし、居住目的で中古物件を購入する場合、その後、家を建て直すタイミングで、掘削の許可を取る必要が出てきます。
校区や地域にこだわりがある人にもおすすめ
古家付きの土地を購入するメリットと、注意点を解説しました。中古物件を購入するという方法は、子どもを転校させたくない、親の近くに住みたいなど、そのエリアにこだわりがある人に、とくに有効な手段だと思います。 人気のエリアにおいては、建築条件付きの土地が多く、更地で自由に家を建てられる土地を探すのが大変です。わが家も土地探しではエリアを絞っていたため、更地で探していた当初は難航しました。 希望のエリアで、ハウスメーカーや工務店を自由に選んで家づくりを行いたいという方は、古家付きの土地も含めて土地探しをしてみてはいかがでしょうか。
玉城夏海