中国・ロシアで新覇権争い「グレートゲーム」最前線の中央アジア 中国とカザフスタン国境の街を歩いた
習近平国家主席は「ホルゴスを深圳にする」と意気込んだというが、中国の西の端の田舎町がたった10年で高層ビルが立ち並ぶ「都市」になっていることに驚いた。「一帯一路」の核心である「中欧班列」の推進、そして「ウイグル民族対策」。様々な思惑からカザフスタンとの関係を強化していこうとする中国の強い意思を感じた。 一方のカザフスタン側。古びた木造の平屋が立ち並び、舗装されていない道を中古車が土煙をあげながら走っていた。時間までがゆったりと流れているような、どこか懐かしい、過去にタイムスリップしたような感覚に陥る景色に、中国とのあまりの経済格差を実感しないわけにはいかなかった。 カザフスタンのホルゴス国際国境協力センター社長やそのスタッフが、「カザフスタンは中国とさらに経済関係を深化させていきたい」と話す一方、「ウクライナ侵攻の影響に関わらず、ロシアはあくまで重要なパートナーである」と強調した。カザフスタンを挟む2つの大国に対する配慮が常に感じられ、そのバランス感覚が強く印象に残った。 19世紀以来、大国の覇権争いに巻き込まれ続け、「グレートゲーム」の舞台となってきた中央アジア。時は移ろい、今は中国とロシアという新たなプレーヤーによる勢力争いの渦中にある。しかし、そこには歴史的、文化的につながりの深いロシアと関係を維持しつつも中国から経済的利益を引き出そうとするしたたかな姿が浮かび上がってきた。 21世紀の「グレートゲーム」がどのような展開を見せるのか。その動向から目が離せない。 JNN北京支局 室谷陽太
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