韓国・尹錫悦政権が「石破自民」の大敗にがっくり、「反韓政治家」野田代表率いる立憲の躍進にはピリピリ
石破茂首相率いる自民党が衆院選に惨敗した。韓国では、この結果が日韓関係にどのような影響が及ぶのか固唾をのんで見守っている。 【写真】2011年12月、京都迎賓館で当時の野田佳彦首相と韓国の李明博大統領が首脳会談を行った。会談後、野田首相は「個人的な信頼関係が深まった」と語ったが、実際はこの会談を機に日韓関係は急速に悪化し機 というのも、両国間の懸案に比較的柔軟な立場を見せてきた石破氏に、韓国民は好感を抱いていた。そして徴用工賠償問題など歴史問題について果敢な決断を下してくれることを内心期待してきた。ところが総選挙を経て、石破首相退陣の可能性まで言及されだした現在の状況は決して心安いものではない。 そのうえ、今回の選挙で148議席を獲得し、大躍進した立憲民主党を率いる野田佳彦代表との過去の「悪縁」を思い起こし、日本の政権交代の可能性にも神経を尖らせている。 ■ 石破氏は「親韓政治家」 韓国メディアが石破首相を紹介する際に最も強調している部分は「穏健な歴史認識を持っている」という点だ。 2017年5月、韓国紙『東亜日報』との単独インタビューで石破氏は、慰安婦問題と関連して「相手が納得するまで謝罪しなければならない」という趣旨の発言したエピソードは韓国人に広く知られている(ただし石破氏本人は当時のインタビューについて「お詫びという表現は使わなかった。互いに納得するまで努力しなければならないと言った」と否定している)。 また石破氏は、党内のライバルである安倍晋三氏の強硬な対韓国政策をことごとく批判してきたのだが、これは韓国人に「親韓政治家」というイメージを抱かせた。 その「親韓政治家」がせっかく日本の総理大臣に選出されたのに、わずか1カ月も経たないうちに総選挙で惨敗し、リーダーシップ喪失の危機に瀕している状況に、韓国政府も内心がっかりしているようだ。
韓国外交部の報道官は記者団とのブリーフィングで、日本の衆院選の結果に対するコメントを求められると、「他国の選挙結果について評価することは適切ではないと思う。政府は日本側と緊密に疎通する中で、韓日関係の肯定的な流れを続けていくために努力していく」と言葉を慎んだ。 ただ、メディアには政府関係者らの本音が漏れだしている。 ■ 日韓関係の停滞を懸念する声 「日本の新内閣発足とともに日本政府が韓日関係で前向きな態度を見せたり、大胆な変化を推進したりすることを期待したが、今回の選挙結果で新しい変化を作る動力が消えると見られる」 「歴史問題など韓日関係と直結した事案は日本政府の支持率に大きな影響を与える変数であるため、苦境に陥った石破内閣が韓日関係懸案に柔軟になりにくくなった」 韓国の外交専門家たちも似たような意見を述べている。 峨山政策研究院のチェ・ウンミ研究委員は、日刊紙への寄稿を通じて、「党内の支持基盤が弱い石破首相が、選挙でも影響力を発揮できないため、所信に沿った政策を展開するとは期待し難くなった」とし、「韓国に対する政策や基調が変わることはないだろうが、韓国が期待している“より進展した姿”を見せるとは思えない」と分析した(『毎日経済』10月28日付記事 「日本自民党選挙惨敗…韓日関係の変化への備えを」)。 申珏秀(シン・ガクス)元駐日大使は『東亜日報』とのインタビューで、「意志はあるが余力がない状況になった。石破首相は、過去の歴史について、自民党内非主流として率直な立場を示してきたため、韓国としても期待していたが、今は(前向きな措置の)実現が難しくなる」と分析した(『東亜日報』10月29日付記事 「リーダーシップ打撃の石破、韓日問題改善の意志にも余力がない状況」)。