「いい案件はすぐに埋まる」「その日にふらっとは難しい」。スポットバイトアプリの「タイミー」がまもなく上場。実際にやってみると「便利」で「早く」「稼げる」アプリだった。が、一方で”本質的な課題”も見えて。
私自身は、本業のほとんどが、文章を書いたり、編集をしたりと時間に拘束されない働き方をしているから、まだ時間を見つけて何度かタイミーはできたものの、これがオフィスで日中は働かざるを得ない、となるとなかなか厳しい。 しかも、先ほど書いたように、初心者でトライしようとしても、最初はなかなかちょうどいい仕事を見つけることも難しい。となれば、会社員の人などが後発でこの業界に入ってくることが難しくなってしまうかもしれない。
そうすると、やはり、こうしたサービスを利用するのは、フリーターや学生などが中心になるだろう。実際、彼らの多くがタイミーを用いるようになっているが、とはいえその層だけを相手にしていても、どこかで拡大が頭打ちになることは明らかだ。 ■さまざまな人の「人生の可能性」を広げられるのか タイミーの企業としてのミッションは「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」ことだという。 会社員であっても、リモートワークや副業の選択肢などが広がった現在、このミッションは、きわめて現代に即したものだ。私の周りでも「スポットワークいいよね、自分の人生経験広がるし」と、その理念の部分に共感する人は多い。本業以外にも、働いてみたい、という人は多いのだ。
とはいえ、現状のままだと、やはり本業がある人がタイミーを用いて「人生の可能性」を広げることは、なかなか難しい。この点をいかに改善していくかに、タイミーの今後があるように思う、 ただ、これはあくまで、現状の話。タイミーは積極的に、テクノロジー分野への投資を重ね、「働きたい人」と「働き手を探している人」のマッチング技術を向上させている。今後、案件の数は増えてくるだろうし、都心以外でも働きやすくなっていくだろう。
ここで指摘したような、いくつかの問題点が改善され、タイミー利用者がさらに増えてくれば、こうした状況も変わるかもしれない。 少しずつではあるが、筆者は、こうした「多様な働き方」が実現される未来を期待して、これからも時間を見つけてはタイミーで働き続けてみたいと思う。
谷頭 和希 :チェーンストア研究家・ライター