「いい案件はすぐに埋まる」「その日にふらっとは難しい」。スポットバイトアプリの「タイミー」がまもなく上場。実際にやってみると「便利」で「早く」「稼げる」アプリだった。が、一方で”本質的な課題”も見えて。
当然のことだが、企業としては、単発の人材とはいえ、せっかくなら慣れている人を雇いたい、と思うだろう。だから、前述したような条件を付ける。そうなると、ある種の先行者利益で、後発でスポットバイトを始めた人は、なかなかよい仕事に就けなくなる。 実際、私が最初にタイミーを始めたときは、なかなかいい仕事が見つからなかった。とりあえず謎のアンケート調査に応える仕事を何件かやって実績稼ぎをし、そこから色々な職種にトライした。
こうした一種の先行者利益は、スポットワークが広がるにつれ、ますます顕著になってくるかもしれない。そして、それが、スポットワーク業界への新規参入を阻む要因になるかもしれないのである。 ■「副業」としての参入は、結構難しい? もちろん、こういう問題があっても、タイミー自体は会員数を増やしているのだからいいじゃないか、という声もあると思う。もちろん、基本的に私も、現状に大きな問題があるとは思わない。ただし、タイミーが上場し、これからも成長していかなければならない、となったとき、これらの問題は、結構な足かせになるような気もする。
というのも、現状のシステムだと、「本業がある人が、副業的に、スキマ時間で仕事に取り組む」という働き方が、なかなかに難しいからだ。タイミーのホームページでは、会社員などが夜の2~3時間や休日で副業的に仕事に取り組んで…なんて事例も紹介されているが、やはりその日の思いつきで働くのは難しく、前からスケジュールを組んでおく必要がある。 でも、会社員にとってそういう計画を組むのは意外と面倒だ(自分もかなり面倒に感じた)。また、自宅が都心から離れている場合、本業の後タイミーで働き、帰宅……はなかなか体力的にも厳しいものがある(あと、そもそも論としてフルタイムで働いたあとに、居酒屋の皿洗いを4時間やるのって普通に無理ですよね? という話でもある)。