クルマ好きは東京を捨て、郊外に住もう! 若者が理想のカーライフを実現できる街はどこだ?
「若者のクルマ離れ」が叫ばれて久しい昨今の自動車業界。しかし、モータージャーナリストの山崎 明氏によれば、それは「大都市圏に限っただけの話」と指摘する。クルマ好きにとって東京はコスパが悪すぎる? では、首都圏に通うサラリーマンは一体どこに住めば良いのか。その答えは「東京を捨てろ」!? 【図】全国ワーストの東京とトップの福井県の自動車保有台数はこれだけ違う!
クルマの保有台数、実は今も昔も変わらない!
若者の車離れが進んでいると良く言われている。しかし統計を見ると人口減少にもかかわらず1世帯あたりの自動車保有台数は2014年の1.069台から1.025台(2023年)とごく僅かしか減っていない(データ:自動車検査登録情報協会)。 都道府県別の世帯あたり自動車保有台数をみると一番多いのが福井県で約1.7台、つまり1世帯2台保有が一般的であることを示す数字だ。逆に最も少ないのが東京都で約0.4台、これは他府県に比べ圧倒的に低い数字で、クルマを保有していない世帯が多いことを示している。 つまり、車離れが進んでいるように見えるのは大都市圏だけ、それも東京だけが極端にその傾向にあると言える。東京はなんだかんだ言っても情報発信の中心地なので、若者の車離れが進んでいるという話がマスコミに乗りやすいのだろう。
東京とそれ以外の決定的な違いとは?
では東京でクルマを持つことはどれだけ困難なのだろうか。経済的側面で考えると、自動車そのものの価格は新車であっても中古車であっても地域でそれほど変わるものではない。税金も同じだ。任意保険も地域によって若干差をつけている保険会社もあるが、大手損保は本土と沖縄で差をつけているだけで、本土は一律であるから、ここでも保有コストには差が出ない。ガソリン代も都心部はとても高いが、東京都全体で見れば全国平均と大差はない。 そうなると大きな保有コストの差となるのは駐車場代と考えられる。様々なサイトで調べてみると、東京都の月極駐車場の平均料金は約3万円程度のようだ。これは確かに他県に比べ高く、神奈川でも1万円台半ばで、多くの県は1万円以下、5000円程度の県も多い。しかし3万円というのは東京都全体で、千代田区、中央区、港区では5万円というのが相場だ。23区内でも練馬区や足立区、葛飾区、江戸川区などの安い地域であれば2万円程度で借りることも可能のようである。世田谷区や杉並区でも2万5000円程度で狙えるようだ。 つまり、保有コストで見る限りよっぽど都心に住むのでなければ、23区内でも周辺県と1万円程度の差で借りることができそうである。 さらに賃金を見ると、東京は他府県に比べ賃金がダントツに高い。厚生労働省が実施した令和5年賃金構造基本統計調査によれば、全国平均の318.3万円に比べ東京は368.5万円と50万円も高い。自動車保有台数の最も多い福井県は285.3万円で東京より80万円も少ない。駐車場代の差など問題にならないほど収入差があるのだ。 家賃の差はどうか。しかしこれも駐車場代と同じで、都心部や高級住宅地は高いがエリアによっては常識的な金額で借りることが可能だ。つまり金銭的に車保有が困難なのは都心部と高級住宅地だけで、一般的な住宅地がほとんどを占めるようなエリアであれば車保有は十分に可能なように思える。