紀元前15世紀の「レシート」に記された家具の大量購入は何のため? 楔形文字の解読進む
トルコ南部のハタイ県レイハンル地区にある「エスキ・アララ」の名で知られるアチャナ・ホユック遺跡で、「古代のレシート」が見つかった。ハタイ県は、2023年2月に発生したトルコ・シリア地震で甚大な被害を受け、多くの建物が倒壊した地域だ。考古学者が同遺跡の復興作業をしていたところ、小さな石板を発見した。 石板は4.2×3.5センチ、厚さ1.6センチで、表面にはアッカド語の楔形文字が彫られていた。楔形文字は世界で最も古い文字形式のひとつで、古代の中東全域で使用されていた。当時、高度な教育を受けた書記たちが粘土板に葦を使って独特の楔形の文字を書いていたという。
考古学者たちが調査した結果、石板は紀元前15世紀のものであることが判明。そこには、およそ200以上の木製のテーブル、椅子、スツールを購入したことが記されていた。 トルコのメフメット・エルソイ文化観光相はこの発見を受けて、「28グラムのこの石版は、青銅器時代後期の経済構造と、国家システムを理解するための新たな視点を提供すると信じています」とXに投稿した。 研究チームは石版の残りの文字の翻訳と研究を続けており、その成果を後日発表する予定だ。また彼らは、レシートの持ち主がなぜこれほど多くの家具を必要としたのかを探り、この石版が当時の古代社会の広い文脈の中でどのように位置づけられたのかを探りたいと語っている。
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