立命大WR仙石大が第4Qに一撃必殺TD 高橋健太郎監督が1年間かけて築いた選手主導のチーム結実
◆アメリカンフットボール全日本大学選手権決勝「甲子園ボウル」 立命大45ー35法大(15日・甲子園) 立命大(関西1位)が法大(関東1位)を破り、9年ぶり9度目の優勝を飾った。2003年度に主将としてライスボウルを連覇した高橋健太郎監督(43)は、就任1年目で学生日本一に導いた。立命大のRB山崎大央(だいち、4年)=大産大付=がミルズ杯(年間最優秀選手)と甲子園ボウル最優秀選手の2冠を獲得。甲子園ボウル敢闘選手は、法大のQB谷口雄仁(たけひと、4年)=法政二=が受賞した。 9年ぶりに大学NO1の座を奪回した選手の手で、高橋監督は3度、宙を舞った。現役時には社会人チームを破り、2度の日本一も経験した指揮官。「8年間待ちわびていた。勝ち切ってくれた学生たちに本当に感謝している」と、新たな喜びに浸った。 3点差に詰め寄られて迎えた第4クオーター(Q)11分。多くの選手がブロッカーを務め、タッチダウン(TD)を狙う一撃必殺「テキサス」を、主将のRB山崎大が「行きましょう!」と直訴した。狙い通り、普段はパスを受ける役割のWR仙石大(3年)=立命館宇治=がランでTD。1年間かけて築き上げてきた、選手主導のチームを象徴するプレーだった。 黄金期を知る高橋監督は「常勝パンサーズを取り戻す」使命を胸に、一般企業を退職して就任した。当初は「とにかく自己肯定感が低くて意見も言わなかった」選手の姿に、「2、3年はかかると思った」と振り返る。試合前の名物円陣「Who’s House」は、自身の現役時代に開始。当時のように、選手が自ら考えて行動するチームにしたかった。練習後は学年や立場に関係なく全体の前で話す機会を用意。音楽用のスピーカーを持ち込みOKとし、髪形も極力自由にした。選手たちが考えて表現することで、フットボールを“楽しむ”充実感が生まれる。伝えてきた思いが結実した。 第1Q25秒、開始早々の1プレー目で60ヤード独走TDを決めるなど、ランで両軍随一の214ヤードを獲得した山崎大は試合後、「パンサーズのフットボールはいろんな方々を魅了する。きょうの試合を見た小中学生、高校生はぜひパンサーズに入って欲しい」と訴えかけた。再び動き出した歴史。この一勝が、常勝パンサーズ復活の礎となる。(森口 登生) ◆立命大パンサーズ 1953年創部。87年にチーム愛称を「グレーターズ」から変更した。94年に関西学生リーグと甲子園ボウルを初制覇。関西学生リーグは14度、社会人と戦って日本一を決めるライスボウルは3度優勝。主なOBはQB東野稔(元アサヒビール)、QB高田鉄男(元パナソニック)ら。部員150人。
報知新聞社