"ボトムヘビー"な肉体でコンテスト優勝 張り出した脚でウェルネス全国大会に臨む
今年からJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)でもウェルネスというカテゴリーが新設された。これは女性特有のカテゴリーで、上半身よりも下半身の筋量が重視される。下半身に筋量がつきやすい、ボトムヘビーな女性競技者には打ってつけだ。「何年も前からウェルネスに興味があった」と話す、永吉令奈(ながよし・れな/32)選手。これまで土俵にしていたビキニから、今年ウェルネス1年生としてマッスルゲート関東大会でデビューし、見事優勝。12月21日・22日に開催される『ゴールドジムジャパンカップ』への道のりを伺った。 【写真】永吉令奈選手のボトムヘビーな肉体
――永吉選手といえば、2021年にマッスルコンテスト東京ビキニクラス&オーバーオール優勝されたことで、ビキニ選手としてのイメージがありました。今年ウェルネスに転向され、マッスルゲートに出場された経緯を教えてください。 永吉 私は上半身と下半身のバランスで言うと、ボトムヘビーになりやすいタイプでした。なのでビキニ競技者として求められる身体に合わせようとすると、脚のトレーニングをあんまり思いっきりできなかったっていうのがあって。サイズアップより脚の機能面を良くして、形を整えていくイメージでやっていました。JBBFにウェルネスが追加されたらぜひチャレンジしてみたいと思っていたので、今年から新設されたことを聞いたとき、本当はすぐにエントリーしたかったんです。しかし、すでに今年の2月に開催されたマッスルコンテストにエントリーをしていた後でした。マッスルコンテストは他団体の大会となりますし、今年度はNPCワールドワイドという団体の選手登録をしていたので、今年1年間はJBBFの選手登録ができません。さらに、自分の身体がウェルネスの選手に近づけるかどうか、すごく不安もありました。ステージに立った自分を見てみたくて、私でもエントリーできるマッスルゲートに挑戦したんです。 ――それが関東大会というわけですね。実際にステージに立たれてみて、どう感じましたか? 永吉 ウェルネス1年生なのでビキニフィットネスの方に寄っていないか、というのが最も不安を感じている点でした。振り返ってみると脚のサイズはまだまだ足りないと思いますが、細くはなかったかな、と。関東大会に出たからこそ、これまで以上に脚のトレーニングを頑張って、どこまで大きくできるかチャレンジしてみたい気持ちが芽生えました。 ――関東大会では優勝を収め、ジャパンカップへの切符も手に入れました。ゴールドジムの社員として勤務されているゆえのプレッシャーはありますか? 永吉 今まで出てきた大会の中で一番プレッシャーを感じています(笑)。私以上に周りのお客様や、マッスルゲートの選手が期待してくださっているので、その気持ちに応えたいんですよね。そういったプレッシャーを感じつつも、今までの大会と少し違うのでまた新たな感情も湧いてきて。 ――と、いうと? 永吉 私の周りに同じ大会を目指す人がいなかったので、これまでは少し孤独を感じていたんです。ですが、今年はマッスルゲートという国内で開催される大会ですし、私が普段トレーニングやポージング指導させていただいているお客様で、ジャパンカップを目指されている方もいらっしゃいます。指導する立場ではありますが、同じ大会を目指している “仲間” として「一緒に頑張りましょうね」と言えることが、本当に心強いです。プレッシャーを感じながらも、皆さんに支えていただいている感謝の気持ちも大きいですね。 ――次に競技者としての一面をお伺いします。現在のお仕事との両立はどのように? 永吉 ゴールドジムのトレーナーとして、週2回朝7時から16時まで、週3回14時から23時までの勤務をしています。体感として朝番の勤務後が最もトレーニングしやすいですね。脚2回(四頭とハム&お尻)・胸&肩のフロント・背中&リアの4分割で、脚トレは休みの日に行います。遅番の日はトレーニング自体を休みにすることが多く、回復に努めます。あまり長時間トレーニングできるタイプではないので、最も注力している脚トレでもウォーミングアップ含めて1時間、長くて1時間半ぐらい。胸や背中の日は40分ぐらいで終わります。1種目ごとにできるだけ短いセット、少ない回数で力を発揮するように心がけています。 ――カテゴリー変更にあたって、トレーニングも大きく変えましたか? 永吉 いえ、種目自体はそこまで変えていません。ウェルネスを目指して、初めて取り入れたのが外側広筋狙いのレッグプレス。足をVの形にして押していくことで外側に張り出すような脚を作ります。変えたのは、種目のやり方と扱う重量です。ビキニのときのように形を整えるのではなく、筋発達させるためにパーソナルで追い込んでいただいています。レッグエクステンション・レッグカール・スクワット・インナーサイの4種目を見ていただきました。これまで自分が取り組んでいた種目ですが、全く違うやり方を教えてもらってかなり刺激が入ってポージングも取りやすくなったんです。今後も教わりながら、自分の関節周りや体幹周りが重量に耐えられるか確認しつつ、焦らずに重量を伸ばしていく必要があると考えています。 ――最後に、ジャパンカップへの意気込みを聞かせてください。 永吉 2021年からマッスルゲートの審査員、そして毎年ジャパンカップにも携わらせていただいています。毎年良い大会にしていきたい、と運営チームの皆さんで改善に取り組んでいるのですが、今回は選手の立場として大会を俯瞰して見ることができます。運営の立場としては、自分が感じたことをまた次の改善につなげられたらいいな、と。選手としては、勤務店舗のお客様にも応援していただいている以上、自分自身最高のステージを披露できるようにしたいと思っています!
【マッスルゲートアンチドーピング活動】 マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材・文:小笠拡子 撮影:中島康介