【政治解説】岸田首相と麻生副総裁 派閥解散めぐり関係に溝… 政治と金の問題に有効策は? 2024年1月世論調査解説
■岸田政権はいつまで続く?
【菅原】 ところで、岸田政権は今後どのぐらい続くと見てますか。 【竹内】 正直、厳しいのは間違いありません。ただ、国会が始まり、能登半島地震の手当てをする予算も盛り込まれた、いわゆる予算案が提出されて審議が始まります。これはすごく大事な政治の仕事なので、途中で投げ出して辞めるということはちょっと考えにくいですし、そういう大事な仕事の最中に自民党の中で岸田首相を何が何でも引きずり降ろそうという動きは、なかなか起きないのでないかと思います。 【菅原】 ただ、予算委員会などでは相当厳しく追及されますよね。 【竹内】 それは絶対に避けられないと思います。野党の幹部も、自民党に対して「責任を全然果たしていない」と話し、追及しようと腕をまくって、ぐるぐる回しているというような状況です。1月29日には“政治とカネ”の問題をめぐって集中審議も行われることになっています。予算が成立するまでは国会で常に野党から追及されることになると思います。
■“政治と金” 今後の論点
【菅原】 論戦のポイントはどこになりますか。 【竹内】 一つポイントを挙げるとすると、私はやはり「政治資金収支報告書を正しく記載していない」という問題につきると思います。政治資金は、基本的には無税になるわけです。だからこそ、どういう風に使っているかということをきちんと透明化して国民が見えるようにしておくということが大事です。ところが今回は、収入にちゃんと書かなければいけなかったものを書かずに、いわば裏金化して、国民から見えなくしていたわけです。 【菅原】 政治資金の中には政党交付金、つまり税金も入っているわけですから、透明化は本当に求められるところですよね。 【竹内】 これはやはり自民党、そして自民党を代表する立場の首相が、きちんと説明しなければならないと思います。
■“よその派閥に口出ししない” 自民党の”文化”
【菅原】 岸田派は3年間でおよそ2500万、収支報告書に正しく記載していなかった。ここについて岸田首相は、会長だったわけですから、首相自身が説明できると思います。一方で、もっと額の大きい安倍派など、よその派閥の問題については、国会で答弁するのは厳しくはないですか。 【竹内】 そうなんです。自民党は、“よその派閥のことに口出ししない”という、“文化”があります。だから岸田首相から安倍派に“お願いする”ことはできても、強制して“やらせる”ところまではなかなか厳しいと思います。けれど、やはり我々国民からすれば、安倍派の幹部には説明を求めて欲しい。安倍派の幹部は「責任は感じている」など、“おわび”はしていますが、なぜこのようなことが始まったのか、理由は説明していません。かなり長い年月にわたってやってきたようで、その間、安倍元首相は「こんなことはやめよう」といったようですが、それ以外の議員たちは、なぜ、誰も止めようと思わなかったのか。やはりきちんと説明を聞きたいと思います。 【菅原】 野党などは、国会への参考人招致や、証人喚問を求めてくると思います。それにどう答えるのかというところで、一種、姿勢が見えるというふうに思います。 【竹内】 安倍派の幹部は閣僚を辞めていますから、出席しないと審議が進まないということはないですけれども、では国会に出なければ説明をしなくても良いのかというと、違うと思います。自ら説明することだって、もちろんできるわけです。やはり問題の経緯や、何に金を使っていたのかは、きちんと説明してほしいです。 【菅原】 ここまで国民の信頼が地に落ちた状態にあっては、自民党の自浄作用というか「自分たちで生まれ変われるぞ」という姿勢をいかに示せるかは大事になってくるかと思います。