「阿部慎之助を一番警戒していた」25歳の田中将大が“楽天の日本一”のために巨人に投じた渾身の302球「アイツ、最後までいくと言ってます」
2013年、田中将大が初めて日本シリーズのマウンドに初めて上がったのは初戦ではなく第2戦だった。レギュラーシーズンで「24勝0敗」という驚異的な数字を残した当時25歳の大エースはなんとしても楽天を日本一に導くために、満を持して日本シリーズに臨む。その相手は奇しくも36歳の田中が新天地に選んだ巨人だった――。Sports Graphic Numberが過去に掲載した田中将大の名場面を振り返ります。初出:Number841号(2013年11月14日売)『田中将大 絶対エース、渾身の302球』【全2回の2回目/前編から読む】※表記はすべて初出のまま 【画像】「マー君、巨人ユニ似合ってる?」2013年は“バチバチ”だった阿部慎之助監督もニンマリ「大人になったなあ…」高校~新人時代のヤンチャそうな田中将大も(50枚超) 則本昂大の好投が報われず、1敗を喫して迎えた第2戦。田中将大は、立ち上がりから気合の入った投球を繰り広げる。シーズン中の田中は立ち上がりが決してよくはなかった。佐藤コーチは「排気量の大きい車はエンジンのかかりが遅いのと一緒」と言うが、受ける嶋もそのことは十二分にわかっている。だから、立ち上がりは、より注意深くリードしようと心に決めていた。だが、注意深くといっても、慎重なリードをしようというのではない。逆に大胆な攻めを心がけたのだ。 嶋はこう振り返る。 「前日に負けているし、相手を勢いづけさせたくなかった。とにかく、腕を目一杯振れる球種を、思い切って投げてもらおうと思ってました」 首脳陣からも、「立ち上がりは、とにかく腕の振れる球種を使ってくれ」と厳命されていた。佐藤コーチが言う。 「日本シリーズの初登板は、どんな投手でも緊張するもの。思い切り振ることで、緊張感も解けてくる。逆にストレート系の腕を振れるボールではなく、スライダーのような、“切る”球種を選ぶと、腕が縮こまってしまう。相手のデータを考えるよりも、投手に気持ちよく投げさせてくれ、と言ってありました」 初回、巨人の1番打者は長野久義。長野は初球、田中が投じた149キロのストレートに手を出し、あっけなく一塁フライに倒れる。捕手・嶋基宏が「あれは助かりました」という、1球でとった1つのアウトで、田中将大は早くも波に乗る。寺内崇幸はストレートで追い込み、スプリットを落として三振を奪う。3番・阿部慎之助は四球で歩かせたものの、続く村田修一を三塁ゴロに仕留めた。
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