受験生を「支える親」「追い詰める親」接し方の違い 精神科医に聞く子どもの「SOSサイン」と対処法
チートデーとチーム力を上手に活用しよう
――周りのプレッシャーから「頑張りすぎる」受験生もいると思います。 やる気は大事ですが、頑張りすぎると成果は減ります。というのも、緊張しているときよりもリラックスしているときのほうが、人間の頭はよく動くものだからです。 受験本番は頭を使いますから、リラックスが必要です。そのためには、普段から「物事はバランスだ」と意識してリラックスできるようにしておく必要があります。アスリートでも本番に強い選手ほど自分のルーティンを実行し、リラックスできる状況を作っています。 また、つらいのに我慢し続けて勉強するのもよくないです。人間の脳は我慢を続けられるようにはできていません。心身を壊してしまうおそれがあるので、「何日頑張ったからこの日は息抜きをしよう」と、意図的にチートデーを設定するといいでしょう。 1日だけ友達や家族と遊びに出かける、ぼーっとして休息するなどはいいですが、「1日中ゲームをする」はおすすめしません。チートデーが終わった後もゲームをしたくなる可能性が高いからです。反動が来ない息抜きをしましょう。 長距離を走ったことがない人がいきなりマラソンを走れないのと同じように、勉強の体力(集中力)も急につくものではありません。チートデーの設定も、“1週間に1日”から始めて、“2週間に1日”、“3週間に1日”と伸ばしていくといいでしょう。 ――最後に親や教員に対してメッセージをお願いします。 メンタルが安定していて、親や先生と良好な関係を保っている子は受験でもいい成果を出しています。親や先生が本人と伴走するよいチームとなっていることが大事。その際、「ここからは本人次第」「これは親の役割」と割り切って考えることも忘れてはいけません。 (文:吉田渓、注記のない写真:Fast&Slow / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部