寝る前のスマホが認知症と関連? 英専門家が語る「体内時計」の重要性
天井を見つめながら眠れない夜を過ごし、ぼんやりした頭で翌日を耐え抜いたことがある? それは、あなたが不規則な概日リズムの影響を受けているから。概日リズムは24時間サイクルの“体内時計”で、覚醒や眠気、空腹感を適切なタイミングで体にもたらす仕組みのこと。 【写真】 睡眠の質を高める10の食習慣を管理栄養士が指南 科学ジャーナリストのリン・ピープルズ氏は、新著『The Inner Clock: Living in Sync with Our Circadian Rhythms』の中で、「少なくとも体内時計は、私たちが日中は活発に動き回り、夜はゆっくりすることを望んでいます」と説明している。また、私たちの体内時計は、常に太陽からの合図を待っているそう。 でも、ご存じの通り、現代人の生活を体内時計に合わせるのは難しい。夜9時にスマホをスクロールしていれば、その画面から発される光が早朝の日光と似たような働きをして、メラトニンの分泌を抑えてしまう。逆に真冬は朝が暗いので、体がまだレム睡眠から目を覚ましていない状態で出勤することになる。 この影響は計り知れないほど大きいので、普段から可能な限り体内時計をサポートしたい。でも、一体どうやって? その答えを探るべく、イギリス版ウィメンズヘルスはピープルズ氏を直撃取材。彼女が何年も夢中で研究している、体内時計というテーマについて語ってもらった。 ※本記事は、イギリス版ウィメンズヘルスからの翻訳をもとに、ウィメンズヘルス日本版が編集して掲載しています。 ※このインタビューの内容は、分かりやすくするために編集・要約されています。
ウィメンズヘルス(以下WH):電子機器のスクリーンが発するブルーライトは睡眠の質を落とすという話が広がったおかげで、“体内時計”という言葉自体は、かなり馴染みのあるものになっています。でも、この体内時計が乱れると、私たちの健康にどのような影響があるのでしょうか? リン・ピープルズ(以下LP): 体内時計の急な乱れは、基本的に時差ボケと同じです。あなたのいるタイムゾーンと体内時計のタイムゾーンが異なると、お腹の調子が悪くなったり、頭痛がしたり、何となく体調がすぐれなかったりします。もちろん、適切な時間に眠れなくなる可能性もありますね。 これが慢性化する、つまり体内時計が乱れっぱなしになるのは、大きな不安材料です。この状態では、糖尿病をはじめとする代謝性疾患や肥満のリスクが高くなることが科学的な研究により分かっています。体内時計が乱れると、がんの発症率が上昇するという研究結果も存在します。最近では、認知症やアルツハイマー病と体内時計の相関関係を示す、非常に興味深いエビデンスもありますよ。 WH:体内時計をサポートするうえで、もっとも大切にしていることは何ですか? LP:体内時計に関しては、3つの基本的なルールを守ってほしいと思います。3つとも実行するのは難しいかもしれませんが、3つのうちの1つか2つを毎日実行できれば十分です! 1つ目は、日中を明るく、夜を暗くすることです。朝起きたら、曇り空でも15分間外に出て、日光を浴びましょう。日中はなるべく窓際で過ごし、暗いところで働いている人は、数分でもいいので外に出る時間を増やしましょう。 夜は照明を消して、スクリーンタイムを制限します。 2つ目に、私たち人間は日中に食べるように進化した生き物なので、その間に食事をします。周りの科学者たちからは、就寝の3時間前には食べるのをやめるよう言われています。 3つ目は一貫性です。毎日同じ時間に起きて、同じ時間に食べて、同じ時間に運動をして、同じ時間に寝るようにしてください。どれも体内時計をリセットし、上手く機能させるのに役立ちます。