ボクシング界に超新星・田中、現る! 日本最速で東洋王座奪取!
ボクシングの東洋太平洋ミニマム級タイトルマッチが30日、後楽園ホールで行われ、プロ4戦目となる名古屋の超新星、田中恒成(19歳、畑中)が、チャンピオンの原隆二(24歳、大橋)を10ラウンド6秒、レフェリーストップによるTKO勝利で破り、史上最速の4戦目で東洋王者となった。同ジムの会長で元WBC世界スーパーバンタム級王者の畑中清詞(47)は、早ければ来春にも予定されている次戦に日本最速となるプロ5戦目で世界挑戦させる考えであることを明らかにした。現在の日本最速の世界王者記録は、WBC世界ライトフライ級王者、井上尚弥(21歳、大橋)の6戦目。
“聖地”後楽園に名古屋から初見参した噂の19歳が戦慄のタイトル奪取だ。一進一退の攻防。8回が終わった時点での公開採点は一人が1ポイント田中、2人がドローだった。 「気持ちで負けない、引いちゃダメだ」 剣が峰で田中は、そう考えたという。 下がる。もしくは、距離をつめられ接近戦となると、それは原のペース。 「残り2ラウンドになるまでが勝負。前に出て打ち合おうと決めたんです」 9ラウンドから田中は左を使いながら壮絶な打撃戦を覚悟で前へと出た。 実は、原が仕掛けた接近戦は想定していた。スピードとリーチで劣る原サイドは、ボディから距離をつめ、プレッシャーをかけることに勝機を見出そうとしていた。実際、その作戦は、若いホープを苦しめたが、田中は、それを想定して、今回の試合に向けて接近戦に練習に多くの時間を割いてきた。 「大きく強くではなく、小さく外して小さく、コツコツと当てていく」 手数とショート。地味に見えてこういうパンチが怖い。 その小さな右がカウンターとなって原の足を止めた。 減量が苦しく、しかも、前半戦の攻勢でスタミナを使いきっていた原にしてみれば、その小さなパンチが致命傷となっていく。右のブローの後に続けて猛ラッシュを受けて、原が、ガードしたまま棒立ちになるとレフェリーが抱えるようにして割って入った。 10ラウンド9秒。TKO勝利が宣言された。 新チャンピオンの田中は腰に巻かれたベルトを「重たい」と言った。 「8月31日に試合が決まってからプレッシャーと共に緊張してきた。こういう厳しい試合になるとはわかっていた。タイトル戦ということではなく、ここで原さんと戦うことだけを考えてきた。本当に疲れました。僕が不用意にパンチを出したときの原さんのスピードや攻勢は凄いものでした。今は喉が渇いたのでジュースを飲みたいです」 喉が渇いたからジュースとは、いかにも19歳らしい。