2017年酉年:数千年に渡る歴史から辿るニワトリ家畜化の起源
さて人類に家畜化された動物の歴史をひも解いてみると、ニワトリは比較的新しい家畜のようだ。その歴史はそれほど古くはない(年表参照 )。一番古いものはイエイヌ(犬)で15000-13500年以上前と考えられている(DNAのデータによるとそれより更に古い可能性が指摘されている)。その他にも、ヤギ(約11000-10000年)、豚(約10000-9000年前)、羊(約11000-8500年前)、牛(約10000-8000年前)、猫(約9000-8000年前)等は、ニワトリよりも早い時代に家畜化が行われたようだ。(注:はっきりした年代は研究者や文献などによって、ニワトリの例で挙げたように意見が分かれることもある)。他のこうした家畜と比べ、「どうしてニワトリは比較的遅い時期に、ようやく家畜化が行われはじめたのだろうか?」 ちなみにアジア南部インダス文明の最古記録のすぐ後、ニワトリの骨は中近東やヨーロッパなど「広範囲に急速に広まっていった」パターンが見られる。チキンと卵の味は万国共通の高いレビュー評価をすぐに受けたようだ。(チキンの味を熟知する我々にとって、特に驚くべきことでもない)。そして食料としてだけでなく、ゲーム(闘鶏)、ペット、祭祀用など、実にさまざまな方法で重宝されるようになる。その結果、現在数百という品種が世界各地に存在する。こうしたニワトリのポピュラー性を考えると、「比較的遅い家畜化の起源」はますます不思議に映る。 さてニワトリの属するGullus属の化石記録に目をむけると、更に興味深い事実がある。10種以上が200-300万年以上も前から存在していたのだ。ニワトリの先祖は、人類の誕生時、すでに我々の目の前を駆け抜けていた可能性が高い。何百万年もの間、人類はニワトリの美味しさをよく知らずに生き延びてきたのだろうか?(チキン料理のない時代に生まれなかった我々はなんと幸運なことか!) ニワトリは庭や路上などでそれほど手間や場所もとらず、極端な話、放し飼いにしておいても勝手に育っていくようだ(中国の街中でこうした光景をよく見かけた)。人類はニワトリを「手元に置いておく」という発想自体、長い間もっていなかったのだろうか? それともどういうわけか、うまく「家畜化する術」を持たなかった(または持てなかった)のだろうか?