2017年酉年:数千年に渡る歴史から辿るニワトリ家畜化の起源
さてこの偉大なる鶏達はいつ頃、どのようにして我々の食卓に―否、家畜として人類に飼育されはじめたのだろうか?ニワトリたちの身にしてみたら、まったく結構な迷惑。「たまったものではない」と、あちこちの家畜小屋から「コケコッコー」とご批判を受けそうだ。しかしその多大なる犠牲精神に私は感謝しつつ、以下にその大まかなニワトリの起源をまとめてみた。 家畜としてのニワトリ(学術名=Galus gallus domesticus)の直接の祖先は、セキショクヤケイ(Gallus gallus)だとかなり以前から考えられてきた。大きさや体つき、早朝の勤勉な発声練習、基本的にほとんど飛ぶことがない習性などは、現在のニワトリと非常によく似ている。こうした事実はチャールズ・ダーウィン(英:1809-1882)もはっきり認識してた。ニワトリの起源に関するくだりは、ダーウィンの自然選択説をベースにした進化論をサポートする証拠として度々登場している。 しかしここ10年くらいの間に行われた一連の二ワトリのDNAやゲノム解析のデータは、興味深い事実を我々にいくつか与えてくれた。ニワトリの直接の祖先はセキショクヤケイだけでなく、もう一つ別の種―ハイイロヤケイ(Gallus sonneratii)―が「混じっている」可能性が高いそうだ。2008年に発表された研究論文は、この二つの種が「交配されて」、現在の家畜としてのニワトリに進化したと決論付けている。 Eriksson J, Larson G, Gunnarsson U, Bed'hom B, Tixier-Boichard M, Stromstedt L, et al. (2008) Identification of the Yellow Skin Gene Reveals a Hybrid Origin of the Domestic Chicken . PLoS Genet 4(2): e1000010. doi:10.1371/journal.pgen.1000010 果たして人類は「どうしてわざわざ二つの異なる種を交配させる必要があったのだろうか?」チキンの味と関わりがあるのだろうか? 飼育しやすくするための工夫だったのだろうか? それともただの偶然だったのだろうか? 更なる研究が待たれる。