変動金利の引き上げ時に銀行は足並みをそろえる? 業界の事情に詳しい銀行員が解説
銀行は足並みをそろえているのか?
ここからは、各銀行の金利を確認していきましょう。 金利比較で考える 現実には、銀行は金利で足並みをそろえているのでしょうか? それを一覧表で比べてみました。 <住宅ローン・変動金利の新規金利> 適用金利は公式サイトで表示される、手数料などを含まない表面金利(記事執筆2024/3/22現在・筆者調べ) 【結論】どの銀行も採算ギリギリだからほぼ横並び 表から見えるのは、銀行間でバラつきも地域格差もあるということです。 〈一覧表から見えてくる銀行の「足並み」〉 1. 採算度外視の低金利で積み上げを図るネット銀 2. 低金利グループ(都銀、一部地銀) 3. 採算重視で高い金利の地銀 メガバンクや地銀の一部では、金利競争から離脱している銀行もあります。たとえばメガバンクの中でも三井住友銀行だけ高水準になっていますし、みずほ銀行でも将来的に住宅ローンから撤退するといった情報もあります。また、地方銀行大手も高水準なのは、一部のメガバンクと同様に住宅ローン以外にビジネスチャンスを求めているということが背景にあります。 一方、金利にバラつきがあるとはいっても、実際にはそれほど大差はありません。 たとえば上表で最も金利が低い住信SBIネット銀行(0.298%)と、メガバンクで中位のみずほ銀行(0.375%)の差は0.077%です。 これを「借入3,000万円・35年返済」で比べた場合、以下のようになります。 住信SBI銀行(0.298%) 総返済額31,595,340円(うち利息1,595,340円) みずほ銀行(0.375%) 総返済額32,016,180円(うち利息2,016,180円) 両者の利息差は420,840円となりますが、35年という長い年数の42万円であり、ほとんど差がない水準と言えます(たとえば両者で借り換えをしようとしても、借り換えの費用で金利差42万円を上回るので、メリットが生まれません)。 こうした点から、銀行は収支などを考えた「採算ラインのギリギリ」で適用金利を決めているので、示し合わせてはいないのに、結局は横並びになってしまうと言えるのです。