変動金利の引き上げ時に銀行は足並みをそろえる? 業界の事情に詳しい銀行員が解説
銀行員が考える「変動金利一斉引き上げ」の前兆
では今後、変動金利(ローン返済中の人)の引き上げがあるとしたら、事前に動きや兆候などはないのでしょうか? 過去の事例や銀行業界の慣習などからヒントを探ってみたいと思います。 前兆1.「論調」「世論」に注意 一斉の金利引き上げといった一大事では、おそらく政府も関与してくるでしょうし、あるいは事前にどこからか話が漏れて「住宅ローン変動金利引き上げのXデーは○月○日」などの記事が出始める可能性があります。そしてニュースや報道の論調も「金利は引き上げになる」という前提に立った内容が増えてくるでしょう。そうなると世論も「金利は上がるのか?」ではなく「いつ上がるのか?」に変わり、銀行の間でも金利引き上げが決定事項になってくるかもしれません。 前兆2.「○末」の日には注意 たとえば過去、銀行が破綻するときなどは、期末(3月末日)や月末、そして週末の金曜日(それも窓口が閉まった夕方5時頃に発表)に発表するケースが多く見られました。なぜなら、金曜の夕方の発表なら土、日は休業なので窓口対応をしなくていいし、いろいろと準備もできるから、ということが銀行業界では言われています。これは業界内の「あるある」で根拠などはないのですが、銀行破綻の発表が金曜日や月末だった例はあります。こういった点から、銀行員としては月末や週末などの「末日は報道に注目」するようにおすすめします。
まとめ
今回は、金利引き上げで銀行が足並みをそろえるのか?という内容でお話ししてきました。 ですが、この記事を書いている現時点でも、私の勤務する銀行内部で金利引き上げの情報や指示事項などはありません。私自身、住宅ローンを変動金利で返済しているので人ごとではないのですが、もし金利引き上げが現実となったら、それを止めることはできません。ですから「金利は上がるのか?」という予想(あくまで予想というだけ)とか「金利が○%上がると返済額はいくら増える?」(シミュレーションすればだれでもわかりますが、ただそれだけです)といった記事や情報に一喜一憂しても、精神衛生上からは良くありません。 それなら、「どうせ金利が上がるんだから」と対策(引き上げに備えた貯蓄や借り換えの検討など)を考えたほうがいいと、銀行員の私は考えます。
加藤隆二