【全日本】諏訪魔〝暴走男〟生んだVM加入 2006年の森喜朗氏襲撃事件「俺、あの時いたっけ?」
全日本プロレスの諏訪魔(48)が専務執行役員を退任し、2025年1月1日付で非常勤取締役に就任した。今後は月1~2試合の参戦となる。04年10月11日のデビューから王道マットひと筋を貫いた男は、なぜ〝暴走男〟と呼ばれるようになったのか。5回連載で「暴走史」を振り返る。 【写真】森喜朗氏につかみかかるVMのTARU(2006年8月27日) 【諏訪魔 全日本プロレス暴走史(1)】 ――武藤敬司率いる全日本で〝未来のエース〟として期待されながら06年1月に極悪軍団「ブードゥー・マーダーズ(VM)」入りした 諏訪魔 自分自身をもっと上にいかせるための手段だね。普通に順番待ちしてたらダメだなって思ったから。当時は上に小島聡、川田利明、荒谷望誉らがいたし。 ――私生活への影響は 諏訪魔 赤髪になったからね。家族は「勝手にすれば」みたいな感じだったけど、息子(サッカーJ1横浜M入りが内定しているDF諏訪間幸成)を保育園に迎えに行ったら「何か変な人が来た」みたいな感じで子供たちが寄ってきたなあ。あとは免許証の写真が赤髪で恥ずかしかった…。 ――VMで得たものは 諏訪魔 試合ではこうやって一人ひとり役割があるんだなって教わった。本隊にいた時は気づかないことが多くあったよ。それをこのキャリアで経験できたのは大きい。あと、スイッチが入りやすくなったよね。マスクをかぶるように別人格になれた。俺の根底には「悪」があったんだなって(笑い)。VMに入って06年4月の「チャンピオン・カーニバル」を準優勝して、6月に小島聡の3冠に初挑戦できたからね。やっぱVMはすごいよ。 ――06年8月の馳浩引退試合(両国)では元首相の森喜朗氏をVMが襲撃。大騒動になった 諏訪魔 俺、あの時はVMにいたっけ? 加入した年の8月か、じゃあいたんだ(笑い)。あれはTARUさんが森さんにつかみかかっちゃって、SPの人が飛ばされたんだよね。話題になって、すげえなって思ったよ。TARUさんは、ああいうの平気でやっちゃうんだよ。お客さんも会場中追い回しちゃうし、本当に鉄パイプでぶん殴っちゃうから。プロだなと思ったよ。ただ元首相を襲った後のTARUさんは大変だったんじゃないの。俺は俺は知らないけど(※後日、TARU、諏訪魔、〝brother〟YASSHIは口頭での厳重注意を受けた) ――08年1月にVMを離脱。2年間の在籍だった 諏訪魔 (07年6月に)小島聡がVMに入ってきてから下についたりすることが増えて、何か違うなあって思っていた。経験もある程度積んだから、真剣に3冠を取ってみたいなと思って離脱を考えたんだ。(08年3月1日両国大会で)TARUさんとケジメのシングルマッチをやったんだよね。頭をビール瓶でカチ割られたのを覚えているよ…。 ――22年5月には一時期、VMに復帰した 諏訪魔 やっぱ俺はヒールが向いているなって思った。久々にやるVMは面白かったし。ただ斉藤ブラザーズ(ジュン&レイ)もVMに入ったじゃん。あれはおかしい! だって2人はVMっぽくないし…。 ――VMを経験して 諏訪魔 あの2年の経験はでかかったし、今でも生きている。(06年度の)「プロレス大賞」でVMが最優秀タッグ賞もいただいたし。あっ、そうそう。俺がVMに入ったことで「諏訪間幸平試練の七番勝負」が5戦目で終わっているんだよ。これは引退までに完結して終わりたいね。
小坂健一郎