ホテル・データセンターが好調の一方で物流施設は苦境に、注目の不動産3セクターで明暗が分かれたワケ
■物流施設|立地による二極化進む コロナ禍でのEC需要拡大を受け、首都圏で開発が過熱した物流施設だが、足元では供給増加の反動が出ている。 不動産サービス大手・CBREによると、2023年の首都圏でのマルチテナント型物流施設の新規供給量は2019年比約1.5倍の90.6万坪に膨らみ、空室率も9.3%(2019年は1.1%)にまで高まった。2024年、2025年も供給過多の状況が続き、空室率は9%台半ばと高止まりする見通しだ。
■圏央道エリアは苦戦 苦戦が目立つのは圏央道エリアだ。すでに多くの空室を抱えるうえ、2025年はとくに稼働率が低い茨城県に開発が集中する。同エリアの2025年の空室率は前年比1.6ポイント増の16%と悪化する予測だ。 圏央道エリアが苦戦している理由は供給過多だけではない。立地が悪いことも要因だ。都心への配送に時間がかかるうえ、倉庫内で作業する人手も確保しにくい。「圏央道ではテナントを集めるために賃料を引き下げるオーナーもいる」(業界関係者)という。
一方、東京ベイエリアなどは供給が落ち着き、2025年は前年比で空室率が改善する見通しだ。 CBREの高橋加寿子シニアディレクターは「テナントは人材確保や配送効率を重視している。立地や設備のよい物件はテナントが決まりやすい」と語る。2024年竣工の三井不動産などが手がける「MFLP・LOGIFRONT 東京板橋」はほぼ満床の状態だ。同施設は外環道エリアに位置し、都心部への配送の利便性が高い。駅から近く、人手も確保しやすい。
今後、立地による二極化はより鮮明になりそうだ。
大竹 麗子 :東洋経済 記者