嫌いな人がバカバカしい存在に思える、脳科学的「言い換え」の技術
「○○力」が難しかったら「クネクネ人間」でもいい
このように“○○力”とラベリングする方法は非常に有用です。心理学でいうところのリフレーミング。ものごとを見るときの見方の枠組み(フレーム)を再構築するのがリフレーミングです。 うつなどでしばしば用いられる方法ですが、普段でも有効です。自分自身の評価をリフレームするのも有効。自分の欠点も“○○力”と言い換えてみましょう。 しかし、○○力と名付けるのが難しい場合はどうしたらいいのでしょうか? 例えば、“陰口ばかり言っているヤツ”。まあ、人の欠点を見つけてくる能力が高いということから“欠点観察力”があるとも言えますし、当人にバレないように観察結果を報告してくれることから“探偵力”があるという風にも言えますが、いまいちピンと来ない。どうもポジティブにとらえにくい。 そんな場合は無理に“○○力”としなくてもいいです。何か言葉でラベルを付けるだけでいいです。例えば“陰口芸人”とか。それだけでも、何か背中を丸めてひそひそ話をしている姿がコメディかコントのように見えてきて、何だか腹を立てるのがバカバカしくなってきます。 もしくは“陰口モンスター”とか。それだとRPGの敵っぽくなって、攻撃したくなります。 そうですね、例えばこんな呪文を唱えるのはどうですか?「アイツも同じ悪口を言ってたよ」とか。恐らくかなりのダメージを与えることができるでしょう。 それで塞ぎ込んだら頭の中で「パララパッパラッパッパ~♪」とドラゴンクエストのレベルアップの音楽を奏でてみるとか。これもバカバカしくなりますね。 また、「何だかわからないけど、生理的に嫌い」っていう人もいるかもしれません。そんな人でもラベリングしてください。ネガティブな言葉でもいいので。例えば「あのクネクネした動きがとにかく嫌い」という場合なら、“クネクネ人間”とか。 そしてすれ違うたびに「あ、クネクネ人間だ」と頭の中で思うわけです。どうです? これまた、バカバカしいでしょ? バカバカしいと思ったら、もう嫌いという感情はそこにはないはずです。 バカバカしいと思えるということは、その人を客観的に見られているということ。なぜ客観的に見られるようになったのかというと、それはラベリングしたからなのです。 そう、言葉には魔力があります。言葉にし、ラベリングするだけでその人のあれこれを外在化し、観察対象にすることができます。すると主観的な感情が薄まるのです。言葉にすることで過去の歴史にしやすくなるのです。
TEXT=篠原菊紀