【報ステ】能登復旧なぜ終わらない?半壊の家に住む解体作業員から見えた“現状”
石川県珠洲市では震災から1年が経とうとする今も、倒壊家屋やがれき、崩れた土砂が残ったままとなっています。なぜ復旧が遅れているのか。現場で復旧にあたる解体業者の視点から、この問題を考えます。 【画像】能登復旧なぜ終わらない?半壊の家に住む解体作業員から見えた“現状”
■朝3キロの大渋滞…作業に支障も
今月24日時点で5573棟もの住宅が被害を受けた珠洲市。半島の北端にある町の復旧の“第一歩”、崩れた建物の解体と撤去は全体の半分程度しか終わっていません。なぜ復旧は進んでいかないのか。その現状を象徴する場所があります。 下村彩里アナウンサー 「多くのがれきなどが積まれた大型車両がかなり長い列を作っています。目の前にある仮置き場にこれから運びこまれますが、すでに多くのがれきが壁のように幾重にも重なっています」 東京ドーム約2.5個分の広大な敷地にあるがれきの仮置き場。地震で出た家屋のがれきや土砂災害の木くずなどが大量に運ばれてきます。そのため、仮置き場の周辺には渋滞が発生。車列に並ぶ作業員からは…。 解体業者 「(Q.この渋滞はいつごろから始まっている?)もうほとんどずっと」 仮置き場は、夜間の作業は危険を伴うとして、日没後はゲートを閉めます。遅くまで作業を行う解体業者の一日は、まず前日に出たゴミの処理から始めざるを得ません。朝のラッシュ時は車両の列が3キロ先まで続くことも。午前中を待ち時間に費やすことも多いといいます。 仮置き場の中では、金属類やコンクリート、畳など11項目に仕分ける必要があります。そのため、“廃棄のための渋滞”は敷地の中でも起きています。 解体業者 「やっぱり中も混み合うんで、なかなかすんなりとは出てこられないんですけど。もう待機ですね。1台ずつ動くんで。高速道路の渋滞みたいなもので」 捨てるだけでもかなりの時間ロス。他にも作業時間を奪う要因があります。 広島県からの解体業者 「(金沢方面から)来るのに約2時間。帰るのに約3時間。無駄ですよね、本当に」 作業員らの一部は金沢方面から来るため、往復に5時間ほど。その分、作業時間はどんどん短くなっていきます。市内近郊には宿泊できないため、能登での作業を断念し、引き上げた業者も。