【毎日書評】どうせこんなもんだとあきらめて、真っ当に「抗う」気持ちを忘れていませんか?
私ごとで恐縮ですが、このたび新刊の『抗う練習』(印南敦史 著、フォレスト出版)が発売されました。 いつのころからか、抵抗することが“かっこ悪いこと”と思われるようになったのではないか。疑問を感じることや抵抗感を覚えることがあったとしても、それらに抗おうとする人が減ってしまったのではないか──。 以前から漠然と感じていた、そんな思いから生まれた書籍です。 ただし、ここでいう「抗う」とは、“必要以上に”抵抗するとか、“無意味な”波風を立てるという意味ではありません(それではただのトラブルメーカーですからね)。そうではなく、“出すべきときに”声を上げ、“自分がより自分らしく生きていくために”時には抵抗することも辞すべきではないという考え方です。 もっとわかりやすくいえば、「無駄にあきらめるのはやめよう」ということ。 なぜなら、自分の人生は自分のためにあるからです。(「はじめに」より) どんどん生きづらくなっている時代だからこそ、「どうせ無理だよね」と簡単にあきらめてしまうのではなく、「なにか、できることはないか」と考えてみる。そして、できることを実行してみる。 ここでいう「抗う」とは、つまりそういう姿勢を意味するわけです。 なお本書は二部構成になっており、まず第1~4章では僕自身の体験を軸に「抗い方」を考察しています。そして第5章では「現在進行形で抗い続けている人」の代表として、1998年に起きた「和歌山カレー事件」の被告人として死刑が確定している眞須美さんの長男(以下、林くん)と対談しています。 ご存知のとおり、この事件に関しては冤罪の可能性が非常に高いことが指摘されています。一方で誹謗中傷も絶えないわけですが、そんななか、林くんはSNSを通じてさまざまな情報を発信し続けているのです。以前からその姿勢に共感していたため、本書を出すにあたって「話をしてみよう」ということになったということ。 そこで今回はイレギュラーではありますが、本日に前編を、5/27(月)に後編をご紹介させていただきたいと思います。まずは、「抗い」について思うことなど。