【毎日書評】どうせこんなもんだとあきらめて、真っ当に「抗う」気持ちを忘れていませんか?
「いまある状況」を別の角度から見てみる
生きていればいろいろあって当然で、なにかあるたび人は悩んだり苦しみを感じたりします。過去の僕にもいろいろ厄介なことがありましたが、だからなおさら「起きちゃったことが仕方がない」と強く感じるのです。などと書くと無責任なことみたいに、あるいは軽そうに感じられるかもしれませんが、それは違います。 なぜなら、それが起きてしまった以上は本当に「仕方がない」のですから。 起きてしまった事実である以上、それを悲しんだり悔やんだりしたところで、なんの意味もありません。そんなことを考えたところで、行き着く先は「どうせ〇〇なんだから」というネガティブな感情の墓場です。(44ページより) たとえば僕は高校1年のとき、ひょんなことからロサンジェルスに短期ホームステイする機会に恵まれたことがあります。その際、フェンダーというメーカーの1957年製ヴィンテージ・ギターを超破格値で入手できたのですが、その喜びは一時的なものとして終わってしまいました。半年後に家が火事になり、そのギターも燃えてしまったからです。 そればかりか当然ながら、自分の小さいころの写真など、買いなおすことのできないものもすべて灰になりました。住む家もなくなりました。ですから悔しかったのも事実ですが、その反面、心のなかには「なくなってしまったものは仕方がない」というシャキッとした思いもたしかにあったのです。 燃えてしまった以上はどうにもならないからです。 つまり「起きちゃった」ことが事実なのだとしたら、嘆いたり、愚痴をいうことよりも大切なのは、「では、ここからどう進んでいこうか」と考えることなのです。 慌てたり悲観したりすることなく、現実を「起きてしまったものは仕方がない」と受け入れ、「では、ここからどうやりなおせばいいのか」を具体的に考え、実行するのです。そう考えても、いま目の前にある「どうにもならないこと」を乗り越えるためにはそれしかありませんし、それこそがベストな選択です。(78ページより) 実のところ、ネガティブになるのはいちばん簡単な手段。しかし、そこから始まる未来について考えれば、おのずと新たな道や手段が見えてくるわけです。(44ページより)