"2018年の松坂大輔"と徹底比較! 田中マー君「カムバック」の絶対条件
■復活の大前提、延命策は? 復活を目指す田中にとって参考事例となるのは、ソフトバンクでの3年間でわずか1登板に終わった後の松坂大輔だろう。その後、中日に移籍した松坂は1年目の2018年に6勝を挙げ、カムバック賞を受賞している。 「力としては当時の松坂と同じくらい落ちている印象です。ただ、中日1年目の松坂は年間を通じてローテを守るのではなく、休み休みの登板で6勝を挙げました。この起用法も参考になりそうです」 いずれにせよ、復活の大前提は体を鍛え直すことだ。 「昨オフは右肘関節のクリーニング手術を受けた影響もあって体を追い込めなかった可能性はあります。本人も『今の体の状態はいい』と言っているので、どこまで体をつくり上げ、球威を取り戻せるか。持ち味である制球力と球種の豊富さを生かすことができれば、活路はあるはずです」 参考にしたい例として、MLB通算225勝のザック・グレインキー(ロイヤルズ)の名を挙げる。 「グレインキーは若手時代、98マイル(約158キロ)のフォーシームとスライダーで勝負するタイプでしたが、フォーシームの球速が落ちた35歳頃からは、そのフォーシームよりもあえてチェンジアップを速くする奇策で延命。これまでの田中は真面目で教科書どおりの投球をしがちでしたが、遊び心も欲しい。持っている球種をフル活用し、何を投げるかわからないスタイルに変貌できるかどうか」 その新たなスタイルに最適な球団はどこか? 「松坂も復活を果たした中日です。小笠原慎之介がポスティングで抜ければ先発陣も手薄になる上、広いバンテリンドームなら打たせて取る投球もしやすい。逆に、興味があると報じられたヤクルトは狭い神宮球場なので、移籍しても好投できるか不透明です」 現状、どの球団も獲得に二の足を踏む状況だ。今オフに所属先が決まらなければ、来年7月末の支配下登録期限まで浪人もありえるのか? 「田中の野球人生において、ここまでの大きな挫折はなかったはず。今こそ、『独立でも構わない』といったハングリーさが欲しい。独立リーガーがアルバイトをしながら夢を追いかけるように、何があっても200勝を目指す気概を見せてほしいです」 カムバック賞受賞となれば、松坂以来、7年ぶりの快挙。果たして、レジェンド右腕はどんな選択をするのか? 文/オグマナオト 写真/時事通信社