"2018年の松坂大輔"と徹底比較! 田中マー君「カムバック」の絶対条件
■黒田、ダル、和田との決定的な違い こうして21年、古巣・楽天に年俸9億円で復帰。当時の契約内容について、先日、「もっと上のオファーを蹴って戻ってきた」と本人が語ったことで物議を醸した。 「結果的に楽天で活躍できなかったのだから、言うべきではなかった。そもそも年俸は過去の実績ではなく、今の実力に対して払われるべきもの。若手からすると、『俺はこれだけ頑張っているのに......』という不満が生まれてしまう原因にもなります」 とはいえ、今季の0勝はともかく、復帰1、2年目は防御率3点台。そこまで悪い数字でもない。 「復帰2年目の22年は25試合登板で163イニング。先発の役目を果たしたといえますが、この頃からボールがあまり飛ばなくなり、投高打低傾向でした。 その環境で防御率3点台では負け越すのも当然。援護点が少なかったのも確かですが、MLB挑戦前やヤンキース時代のような味方の奮起を促す投球ができなかった」 MLBから古巣への復帰という意味では、ヤンキース初年度でチームメイトだった黒田博樹が39歳で広島に復帰し、リーグ優勝に貢献している。田中よりも年齢を重ねたタイミングでの復帰だったが、なぜ活躍できたのか? 「黒田の場合、『MLBでもまだやれるが、ギリギリの水準。日本でならまだ十分やれる』という絶妙な時期でした。そのため、球に力強さがあり、2桁勝利をマーク。結果を残すから若手も慕い、チーム全体に好影響をもたらしていた。 一方、田中の場合、逆に若手の登板機会を奪うカタチに。さらに、安樂智大(現メキシコシティ・レッドデビルズ)のパワハラ騒動への関与も疑われる状況では、放出も致し方なしといえます」 加齢により勝てなくなるのは勝負事の道理。だが、先述の黒田以外にも、38歳ながらMLBで活躍するダルビッシュ(パドレス)や、今年43歳で引退する間際まで奮闘した和田 毅(元ソフトバンクほか)ら、40歳前後でも衰えない投手もいる。彼らと田中の違いは何か? 「ダルビッシュと和田は若い頃からしっかりとトレーニングを積んでいたので、年齢の割に体が若い。一方の田中はそこまでトレーニングで追い込むタイプではない。試合後のロッカーの様子をYouTubeで見ましたが、上半身はかなりたるんでいました。そのせいか、近年は肝心のストレートの球威がありません」 一度は球威を落としながら、現役終盤に力強いストレートを取り戻した投手もいる。来季から阪神の新監督を務める藤川球児(元阪神ほか)だ。 「藤川はMLBから日本球界に復帰する際、阪神からオファーがあったにもかかわらず、まずは独立リーグでのプレーを選びました。実戦感覚を養いながら体を鍛え直す目的だったのでしょう。 また、和田もダルも藤川も、肘を故障した際にブランク覚悟で手術を受けリハビリで体を鍛え直した。この過程が大事なのかもしれません」